2021 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性角膜疾患に対する遺伝子治療実現のための基盤技術の確立
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20K09808
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
臼井 智彦 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (80282557)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遺伝性角膜疾患 / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は我々が作製したTGFBI角膜ジストロフィモデルマウスである、TGFBI R124C変異マウスを用いて、clustered regularly interspaced short palindromic repeat(CRISPR)- CRISPR-associated 9 (CRISPR-Cas9) システムによる遺伝子編集が可能かを検討した。前年度における検討で、角膜での遺伝子編集は、実質内注射では遺伝子発現が難しく、結膜下注射による方法がよかったため、同様の方法で行うこととした。まずTGFBI遺伝子発現を切断するCRISPRのウイルスベクター(mTGFBI-CRISPR)を作製した。結膜下投与の条件設定を行い、TGFBI1R124Cマウスの輪部結膜下注射を行った。投与後1週間で角膜を取り出し、遺伝子編集の確認をT7 endonuclease I assayで、またTGFBIの発現をRT-PCRとWestern blottingで検討した。するとmTGFBI-CRISPRを注射した群では、切断されたことを意味する2本のバンドが確認された。またmTGFBI-CRISPR注射群ではモックやPBS(ネガティブコントロール)を注射した群と比較して、角膜におけるTGFBIの発現がmRNAレベル、タンパクレベルで抑制されていた。編集効率は5.33%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際にR124Cモデルマウスの角膜においてTGFBI遺伝子発現を切断するCRISPRのウイルスベクター(mTGFBI-CRISPR)を結膜下投与することによりTGFBI遺伝子発現を抑制することが確認された。ただしマウスの飼育にトラブルがあり、胚保存から起こして再現性含め今後の検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずマウスを胚から再度起こして交配し、phenotypeを再度確認する。 R124Cマウスでは上皮創傷治癒が遅延することを我々は以前に報告している。そのメカニズムの解析を行うとともに、mTGFBI-CRISPRの結膜下投与が創傷治癒の改善をもたらすかどうか検討する。 さらにヒト手術サンプルから得られた角膜実質細胞を不死化セルライン化やiPS化を行い、疾患の病態解明に関するin vitro実験や薬剤スクリーニングに必要な検討の準備も行いたいと考える。
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Causes of Carryover |
学会が少なくなったことによる交通移動費があまり使用されなかったことや、コロナ禍で研究が進みにくかったこと、またマウス飼育にトラブルがあったことなどが原因と考えられる。 来年度もマウス飼育費用、セルライン化やiPS化に必要な研究試薬、学会の参加費用など適正に使用していく予定である。
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Research Products
(2 results)