2023 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性角膜疾患に対する遺伝子治療実現のための基盤技術の確立
Project/Area Number |
20K09808
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
臼井 智彦 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (80282557)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 角膜ジストロフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、前課題で行ったin vitroにおけるCRISPR-Cas9システムが生体角膜においても可能なのかの検討を行った。GFP遺伝子をターゲットとしたガイドRNAレンチウイルスベクターを作製し、ウイルスベクターを様々な方法でGFPマウス角膜に投与した。すると角膜全周の輪部結膜下に注射した群が最も効率的に角膜のGFP発現を抑制した。次に我々が作製したTGFBI角膜ジストロフィモデルマウスである、TGFBI R124C変異マウスを用いて検討した。TGFBI遺伝子発現を切断するCRISPRのレンチウイルスベクター(mTGFBI-CRISPR)を作製しTGFBI1R124Cマウスに対して輪部結膜下注射を行った。するとmTGFBI-CRISPRを注射した群では、モックやPBS(ネガティブコントロール)を注射した群と比較して、角膜における TGFBIの発現がmRNAレベル、タンパクレベルで抑制されていた。その編集効率は5.33%であった。フックス内皮角膜変性症についても検討を行った。フックスではTCF4遺伝子のイントロン2におけるCTG repeat expansion(CTG19.1)が原因の一つのため、CTG repeatを挟み込むようにガイドRNAを設計し、ヒトフックス角膜内皮細胞株に対し、遺伝子導入を行った。するとCTGの繰り返し配列が消去され、その導入効率は約23%であった。 遺伝子治療が可能になったとしても。混濁の改善が実際に患者の視機能を改善しなければ意味がない。顆粒状角膜ジストロフィや格子状角膜ジストロフィの視機能に関する検討を行ったところ格子状では角膜前後面の不整性が視力に影響し、一方顆粒状では散乱がより強く視力に影響していた。よって顆粒状では角膜混濁の除去が有効であり、格子状では混濁除去に加え乱視の軽減にも注意を払う必要があることがわかった。
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