2020 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between primary cilia and corneal endothelial disease in corneal endothelial cells and their function
Project/Area Number |
20K09832
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
谷岡 秀敏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (90171834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外園 千恵 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30216585)
戸田 宗豊 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (30550727)
上野 盛夫 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40426531)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | primary cilia / 一次繊毛 / 角膜内皮 / DSAEK / 培養細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始当初の背景:細胞に一本のみ生えているprimary cilia が存在することは1世紀以上前から知られていた。近年、その構造と機能が明らかとなり、また様々な遺伝性疾患との関連性が知られるようになった。一方角膜内皮においては知見が少なく、内皮細胞にprimary ciliaが1本だけ存在することが一部の教科書に記載されるのみで、その機能については明らかでない。 研究の目的:本研究では角膜内皮細胞におけるprimary ciliaと病態の関係を解明し、さらにその機能を明らかにする。 研究の方法:a.水疱性角膜症に対するDSAEKを施行された17例17眼について、手術時不要となるホストの剥離デスメ膜および角膜内皮を採取し、アセチル化αチューブリンにて免疫染色を行った。 b.品質の異なる培養細胞におけるprimary ciliaの存在が細胞の質の指標となり得るか解明;異なる培養状態のヒト角膜内皮細胞について免疫染色を行った。 研究成果:a. 17眼のうち緑内障手術(trabeculectomy)後の水疱性角膜症3眼、 Fuchs角膜内皮ジストロフィ3眼、狭隅角へのレーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症1眼でprimary ciliaの存在を確認した。また組織によってprimary ciliaの長さの違いが見られた。本研究よりヒト角膜内皮においてprimary ciliaの存在を確認した。病型によって発現が異なること、また細胞ごとに発現が異なることから、細胞の機能を反映している可能性が考えられた。b.品質の異なる細胞では形態として、小さい細胞と大きな細胞が存在しており、角膜内皮細胞の移植に適さないと考えられる大きな細胞はprimary ciliaの発現が少ない傾向であったが、全く発現しない分けではなかった。また、内皮培養細胞の約3割にprimary ciliaの発現が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト角膜内皮の培養用のドナー角膜の全て、および角膜移植用のドナー角膜の大半は米国より提供を受け実施している。世界的な新型コロナウイルスの蔓延により、米国からのドナー角膜の輸入の遅延、減少により、研究用の培養角膜内皮細胞の作製、角膜移植手術が減少した。 そのような状況下においても、DSAEK手術で得られた水疱性角膜症のデスメ膜および内皮細胞について、primary ciliaの発現状況を確認し、2021年4月に開催された第125回日本眼科学会総会にて成果を発表した。また、角膜内皮培養細胞に関しては、例数が少ないものの、細胞が大きくなった細胞においけるprimary ciliaの発現が少ない傾向が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、角膜内皮細胞における細胞周期とprimary ciliaの関係の解明、および眼炎症とprimary cilia発現との関係の解明を予定している。初年度の予定実験に関しても、例数の追加を行い、結果を補強する。 一時期殆ど止まっていた米国からの輸入角膜に関して、一部可能となって来ているため、順次培養細胞を用いた実験を再開する。
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Causes of Carryover |
ヒト角膜内皮の培養の全て、および角膜移植用のドナー角膜の大半は米国より提供を受け実施している。世界的な新型コロナウイルスの蔓延により、米国からのドナー角膜の輸入の遅延、減少により、研究用の培養角膜内皮細胞の作製、角膜移植手術が減少した。そのため研究用の試料が減少し、実験器具等の購入が減少した。 次年度は少なかった例数の積み上げを行うため、実験の遂行に必要な物品の購入にあてる。
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