2021 Fiscal Year Research-status Report
患者iPS細胞と3次元オルガノイドを用いた網膜色素変性の新規治療法に向けた解析
Project/Area Number |
20K09833
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
篠田 肇 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30306766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 洋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (90265885)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 網膜 / 失明 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜色素変性は、加齢とともに徐々に網膜視細胞死による視野狭窄が進行し、最終的に視機能を喪失するため、高齢化社会においては社会問題となる。国内の失明原因の第2位である。現時点では承認された治療法が無い。その一因は、病態メカニズムに不明の点が多いことがある。そこで本研究では、患者体細胞から樹立した人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell; iPSC)を分化誘導して網膜3次元オルガノイド培養を行い、網膜色素変性の病態を解析している。この方法では、患者の遺伝子変異を保持したiPSC由来の網膜細胞を、3次元構造により網膜の微小環境を模倣した状態で分化誘導することが可能であり、遺伝性疾患の病態研究に適している。さらにiPSCの段階で遺伝子改変の技術を用い、網膜視細胞に分化した際に蛍光標識されるようにしておくことで網膜視細胞選択的解析を可能とするシステムを構築している。これにより3次元オルガノイドを実態顕微鏡で観察したり、フローサイトメトリーを用いて問題の細胞を回収したりすることが可能となり、網膜視細胞における遺伝子発現の変化等を解析することが可能となる。網膜色素変性の病態を解析し、薬物効果のメカニズムを探ることで、遺伝子変異があっても網膜異常をきたさないための日本発で世界初の新規治療薬の開発につなげる研究である。2021年には患者およびコントロールのiPS細胞に遺伝子改変を行い、視細胞が分化誘導された際に蛍光を発するiPS細胞株を作製した。そして3次元オルガノイド培養により分化した視細胞を確認し、生存している視細胞の数等を比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に患者由来iPSCは入手され、遺伝子改変の技術を用い、網膜視細胞に分化した際に蛍光標識されるようにする細胞株およびその3次元オルガノイドの作製に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
膜視細胞に分化した際に蛍光標識されるようにする細胞株を用いて作成した網膜3次元オルガノイド培養において病態解析を進める。
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Causes of Carryover |
培養期間の関係で、次年度に試薬を買う必要があったため。
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[Journal Article] Shorter Axial Length Is a Risk Factor for Proliferative Vitreoretinopathy Grade C in Eyes Unmodified by Surgical Invasion.2021
Author(s)
Minami S, Uchida A, Nagai N, Shinoda H, Kurihara T, Ban N, Terasaki H, Takagi H, Tsubota K, Sakamoto T, Ozawa Y.
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Journal Title
J Clin Med.
Volume: 10
Pages: 3944
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 両眼の閉塞性網膜血管炎を契機に診断され急速な転機を辿った悪性リンパ腫の1例.2021
Author(s)
岸本ゆりえ, 伴紀充, 園部秀樹, 小澤紘子, 藤岡俊平, 安里輝, 栗原俊英, 内田敦郎, 堀内直樹, 根岸一乃, 篠田肇.
Organizer
第75回 日本臨床眼科学会
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