2021 Fiscal Year Research-status Report
Myopia development and scleral ER stress
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20K09834
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 真一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (50534898)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 近視 / UPR / PERK / ATF6 / 強膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は強膜小胞体ストレスが近視進行に関わることを多数の実験により明らかにし、薬理学的及び遺伝子工学的手法を用いて小胞体ストレスセンサーのうち、PERK経路、ATF6経路が近視進行に関わることを示した。 近視強膜ではコラーゲンを代表とする細胞外マトリックスのリモデリングが生じていることが知られており、それにより眼球の弾性・剛性が低下することで形態の変化につながると考えられている。2021年度はこの現象に強膜小胞体ストレスが関与しているかどうかの検証を行なった。マウスに発現している全43コラーゲン遺伝子の強膜における発現を近視誘導後に検証すると、コラーゲン1a1遺伝子の発現低下ならびにコラーゲン4a2, 4a3, 6a1, 6a2, 7a1, 8a1, 8a2, 11a2, 12a1, 15a1 , 18a1の発現増加が認められた。初代ヒト強膜線維芽細胞に小胞体ストレスを負荷し、その際の上記コラーゲン遺伝子の発現を検証したところ、コラーゲン1a1の発現低下ならびに4a3, 8a2, 11a2, 15a1の発現増加が認められたことから少なくともこれらの遺伝子群は小胞体ストレスによる発現制御がなされており、近視進行に関与すると考えられた。これらのコラーゲン遺伝子のLIMによる発現変化は近視進行を抑制する4-PBA点眼により抑制された。また、近視誘導によりコラーゲン線維の細小化がリモデリングの1表現系として生じるが、この細小化も4-PBA点眼により抑制された。以上のことから強膜小胞体ストレスは強膜リモデリングを介して近視進行に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強膜小胞体ストレスの近視への関与を種々の薬剤による抑制系/誘導系の両方から明らかにし、さらには阻害剤並びに強膜への遺伝子導入によってPERKならびにATF6経路の関与を示すことができた。これらの経路は強膜における一部のコラーゲン遺伝子の発現亢進並びにコラーゲン1の発現現象を制御することで強膜リモデリングおよび眼軸伸長を成し遂げていることを明らかにすることができた。これらの結果は現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
強膜小胞体ストレスの誘導もしくは抑制といった介入により近視化をコントロールできる事実は、近視進行抑制薬または治療薬の創出の可能性を強く示唆している。そこで、点眼による強膜小胞体ストレス抑制、具体的には4-PBA点眼が近視進行抑制薬となりうるかどうか、容量依存性試験を実施し、非臨床試験レベルの実験の実施によって創薬化への足掛かりとする。また、近視治療の可能性を検証するために、近視誘導が完了した動物に4-PBAを投与し、治療効果が認められるかどうかの検討も行う。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Short-term physical inactivity induces diacylglycerol accumulation and insulin resistance in muscle via lipin1 activation2021
Author(s)
Saori Kakehi, Yoshifumi Tamura, Shin-Ichi Ikeda, Naoko Kaga, Hikari Taka, Noriko Ueno, Tetsuya Shiuchi, Atsushi Kubota, Keishoku Sakuraba, Ryuzo Kawamori, Hirotaka Watada
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Journal Title
Am J Physiol Endocrinol Metab
Volume: 321(6)
Pages: E766-E781
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 強膜小胞体ストレスによる近視進行制御2021
Author(s)
池田 真一, 栗原 俊英, 姜 効炎, 森 紀和子, ジョン ホヌク, リー ドコ, 堅田 侑作, 國見 洋光, 三輪 幸裕, 小沢 信博, 伊吹 麻里, 正田 千穂, 鳥居 秀成, 坪田 一男
Organizer
第3回日本近視学会総会
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