2021 Fiscal Year Research-status Report
人工乳房周囲におこる生体反応の分子組織学的検討と長期的カプセル拘縮の病態解明
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20K09845
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡部 聡子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (20379803)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 被膜拘縮 / シリコンブレストインプラント / synovial dysplasia / BIA-ALCL / 線維化 / バイオフィルム / 慢性炎症 / テクスチャードタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らの目的:乳房の形成手術で使用する人工物表面に形成される線維性被膜(以下カプセル)の組織学的、分子組織学的特徴と患者背景及び臨床経過との因果関係を明らかにし、長期的なカプセル拘縮の発生要因とされる慢性炎症のトリガーとは具体的に何かを解明する。 研究実施計画:カプセルは初期異物反応によって形成され、長期的に様々な要因によりその肥厚と拘縮(カプセル拘縮)を生じる。この反応は遺伝的素因の他に、人工物周囲に起こる何らかの要因が関与していると推測される。2021年度は臨床研究実施計画及び倫理委員会への申請承認を得て、実際に過去と新規症例から臨床情報収集を行った。乳癌患者におけるSBIによる乳房再建術後患者 から得られたSBI周囲のカプセル組織の保存検体から、タンパク質抽出方法の確立と濃度調整を行なった。本年度は実際に検体から炎症反応および線維化の指標となるバイオマーカーを測定し、これまでに収集したカプセル拘縮と関連が予測される患者背景、臨床所見、術後経過などの複合的なデータを解析し、それぞれの因果関係の調査を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凍結保存検体からのタンパク質抽出方法と濃度調整方法において安定した結果を得るのに時間がかかり、また研究者の異動にともない実験の遂行にやや遅れを生じたが、概ね手法は確立された。また、現時点で得られる臨床情報については概ねデータは得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後適格基準を満たす全症例の凍結保存検体から、これまでに確立した手法によりタンパク質抽出と目的とするサイトカイン定量を行う。さらに追跡が必要な臨床情報収集とすでに収集した臨床情報をあわせてデータクリーニングと解析を行なっていく予定である。
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Causes of Carryover |
理由)タンパク質抽出の段階で安定した結果を得るために時間がかかり、サイトカイン定量に伴う試料購入、外注費に使用するための資金に余裕が生じた。また、前年度同様に学会参加費を計上していたが、web参加となったため旅費の分に差額を生じた。 使用計画)サイトカイン定量のための試料購入、外注費にあてる予定である。
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