2020 Fiscal Year Research-status Report
β3インテグリン遺伝子導入ヒト表皮角化細胞を用いた難治性潰瘍に対する新規再生医療
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20K09847
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久保 美代子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (00098609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 英一 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (90314674)
山本 健一 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00711798)
木下 理恵 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40518297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | β3インテグリン遺伝子導入ヒト表皮角化細胞 / 再生医療 / 難治性潰瘍 / フィブリンゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度には、FBゲル三次元培養系でのαvβ3発現HKのin vitro諸細胞機能(増殖、移動)について検索し、αvβ3発現HKを創傷部に投与する際のFB担体の至適条件を決定した。 フィブリン(FB)ゲル三次元培養系で、Ca濃度、増殖因子(FBゲル内ならびに培地内に投与)がαvβ3発現HKと正常表皮角化細胞(コントロール)の諸細胞機能(増殖、移動)に与える影響を調べた。フィブリンゲル作製は、これまでの実験結果に従ってGelatin Sepharose 4Bによりフィブロネクチンを除去したフィブリノーゲン(3mg/ml)にトロンビン(12 U/ml)を加えて行った。細胞増殖は4日間の細胞増殖アッセイにより、またin vitro創傷治癒(細胞増殖+細胞移動)は20-24時間のスクラッチ創傷治癒アッセイにより調べた。培地はKGM-Gold BulletKit(Lonza)を使用した。その結果、① high Ca濃度(0.5 mM, 1.2 mM)ではlow Ca濃度(0.1 mM)に比べて両細胞とも細胞増殖が減少した。しかし、いずれのCa濃度においてもαvβ3発現HKの細胞増殖は正常表皮角化細胞(コントロール)に比べて有意に増加した。② hepatocyte growth factor(HGF)、heparin- binding EGF-like growth factor(HB-EGF)のFBゲル内投与によりhigh Ca濃度(1.2 mM)でαvβ3発現HKの細胞増殖が増殖因子投与なしに比べて有意に増加した。③ HGF、HB-EGFの培地内投与によりhigh Ca濃度(1.2 mM)培地でフィブリノーゲン (FG)上でのin vitro創傷治癒(増殖+移動)が増加した。 以上の結果より、当開発細胞使用の際にはFBゲル担体に1.2 mM Ca、HGF、HB-EGFを投与することが有用である事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年の4月から5月上旬にかけて新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言が発令されため実験が予定通りに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度以降は、さらに実験回数を増やし令和2年度に得られた結果を確認すると共にそれらの至適濃度を決定する。また、in vivoの動物実験でそれらの創傷治癒促進効果を検証する予定である。さらに、αvβ3発現HKの創傷治癒促進効果の分子機構を解明する予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入について予定よりも安価に抑えることができたため、次年度使用額が生じた。残額については令和3年度の実験に必要な消耗品等に使用する予定である。
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