2021 Fiscal Year Research-status Report
β3インテグリン遺伝子導入ヒト表皮角化細胞を用いた難治性潰瘍に対する新規再生医療
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20K09847
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久保 美代子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (00098609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 英一 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (90314674)
山本 健一 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00711798)
木下 理恵 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (40518297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | β3遺伝子導入ヒト表皮角化細胞 / 難治性潰瘍 / 再生医療 / 再上皮化促進 / フィブリンゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 難治性潰瘍モデルを用いてαvβ3発現HKのin vivoでの機能を検索した。 難治性潰瘍モデルとしてフィブリン(FB)を潰瘍底にコートする方法を行った(慢性創傷ではフィブロネクチン(FN)分布が減少し、FB沈着が増加するので)。方法1:ヌードマウス背部皮膚に直径8 mmの全層皮膚欠損創を2か所作製し、FBゲル(FN除去FG: 3 mg/ml、トロンビン: 12 U/ml混合)をコートした。その上部にαvβ3発現ヒト表皮角化細胞(αvβ3発現HK)あるいは正常ヒト表皮角化細胞(NHK、コントロール)のcell suspension(2 x 100,000個)をFBゲル(FN除去FG: 0.3 mg/ml、トロンビン: 1.2 U/ml混合)内に混合して移植した。創傷被覆材でカバーした後、経時的(4、7、14日) に肉眼的観察と組織学的検査(HE染色標本)とを行った。その結果、7日目でαvβ3発現HKはNHKに比べて再上皮化(生着+周辺表皮からの上皮化)が有意に増加した。14日目で両者とも再上皮化が完了し、有意差はなかった(n= 6)。方法2:シリコンチャンバー(Hat型とCap型、直径11 mm)を全層皮膚欠損創(上記と同様に作製)に装着する方法を行った。この方法は潰瘍周辺からの表皮遊走(マウス由来)をブロックする事ができるので移植細胞のみの生着と上皮化を観察できる。FBゲルのコートならびに細胞移植の方法は方法1と同様に行った。その結果、7日目、14日目でαvβ3発現HKはNHKに比べて生着および上皮化が有意に増加した(n= 5)。以上より、αvβ3発現HK移植はin vivoで再上皮化を促進する事が明らかになった。
2. αvβ3発現HK使用の安全性を調べた。 αvβ3発現HK(2 x 100,000個、レトロウイルスベクター法で作製)をFBゲル(FN除去FG: 0.3 mg/ml、トロンビン: 1.2 U/ml)内に混合し、ヌードマウスの背部に皮下注射した。8週目の組織学的検査(HE染色標本)で腫瘍形成のない事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の状況で研究体制がかなり制限された時期があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1. FBゲル三次元培養系でαvβ3発現HKのin vitro諸細胞機能(接着、増殖、移動)を検索する。① FBゲル内あるいはcell suspension 内にFN、変性コラーゲンを混合し、同FBゲル上でのαvβ3発現HKあるいはNHK(コントロール)の諸細胞機能 (接着、増殖、移動)への効果を調べる。そしてそれらの至適濃度を決定する。② FBゲル内あるいはcell suspension内に線維芽細胞を混合し、同FBゲル上でのαvβ3発現HKあるいはNHKの諸細胞機能 (接着、増殖、移動)への効果を調べる。そしてその細胞機能促進効果が最も高い投与細胞数とその比(HK: 線維芽細胞の比)を決定する。 2. 難治性潰瘍モデルを用いてαvβ3発現HKのin vivo機能を検索する。 潰瘍底にコートするFBゲル内あるいは移植cell suspension 内にFNまたは線維芽細胞を混合投与した時の移植αvβ3発現HKあるいはNHK(コントロール)の生着率ならびに周辺表皮からの上皮化の状態を比較検討する。 3. αvβ発現HKの創傷治癒促進 (再上皮化促進) 効果の分子機構を解明する。 創傷治癒促進(再上皮化促進)条件下でのαvβ3発現HKについて、NHK (コントロール)との比較で次世代シークエンサーを駆使した網羅的RNAシークエンシング解析を行いαvβ3発現により制御される重要遺伝子(接着、増殖、移動に関わる)の同定に役立てる。解析対象サンプルは、「αvβ3発現HK vs NHK」と「αvβ3発現HK移植マウス皮膚組織 vs NHK移植マウス皮膚組織」とする。そこから得られる結果からさらに詳細な分子機構を解析する。
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