2020 Fiscal Year Research-status Report
in vivo遺伝子導入による軟骨再生医療への展開
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20K09853
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山岡 尚世 帝京大学, 医学部, 講師 (10444085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 特任教授 (30130040)
鈴木 亮 帝京大学, 薬学部, 教授 (90384784)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 / 軟骨再生 / 遺伝子導入 / リピッドバブル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、安全で確実な軟骨組織再生の方法を確立し、早期の臨床応用を目指すことである。まず脂肪幹細胞を軟骨分化培地を用いて軟骨細胞に分化誘導する。次に軟骨細胞に分化誘導した細胞をマウスに移植した後、移植部位でsox9を遺伝子導入し、軟骨組織再生への効果を検証する。遺伝子導入の方法は正荷電リピッドバブルと超音波を用いソノポレーションの増強効果を利用する。本研究ではすでに開発されているリッピドバブルを基本に、プラスミドDNAとの親和性を高める目的で正荷電脂質を添加した遺伝子導入用正荷電リピッドバブルを開発した。バブルの調整は脂質懸濁液(正電荷リポソーム)にパーフルオロプロパンガスを注入後高速攪拌し封入することで超音波応答性の正荷電リピッドバブルを作成した。Sox9のプラスミドDNAはプラスミドDNAを大腸菌にトランスフォームしその大腸菌を培養することでプラスミドDNAの増幅を行った。増幅されたプラスミドDNAを回収しイオン交換樹脂を利用した精製カラムを用いてプラスミドDNAを精製、回収した。アガロース電気泳動で目的にプラスミドDNAを増幅・精製できたことを確認し吸光度測定を行い定量した。こうして得られたSox9のプラスミドDNAの負荷電と正電荷脂質を相互作用させ、リピッドバブルに吸着させた。現在進行中のIn vivo実験では脂肪幹細胞を軟骨分化培地で培養した後細胞を回収し1%アテロコラーゲンハイドロゲルと混和したものをヌードマウスの皮下に注射し、これにSox9発現プラスミドDNAと新開発正荷電リピッドバブルの混合物を注入し超音波照射をしている。この操作を週1回4週間繰り返す。ヌードマウス背部皮下に移植から2か月経過した後摘出し得られた検体を組織学的、生化学的、力学的に評価しそれぞれの項目について生理的軟骨組織との比較検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では遺伝子導入用リピッドバブルの作製およびSox9発現プラスミドDNAの作製と脂肪幹細胞の軟骨分化誘導の評価を目標とした。いずれも順調に進展しており現在はin vivo実験を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ヌードマウスを用いたin vivo実験を継続中である。実験の中で1%コラーゲンゲルを背部皮下に注入するのだが、注入後生体内で強固なゲルになるまで想定以上の時間がかかることが分かった。そのためゲルが背部皮下の局所にとどまらず引き延ばされて拡散してしまうこともある。これを踏まえて現在ではコラーゲン濃度の条件を変えたり注入部位を変えたりして注入されたコラーゲンゲルが局所に留まる方法を模索している。
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Causes of Carryover |
研究を始めるにあたり専用の器具や薬品を購入したたため想定よりもやや使用額が高くなった。また、in vivo実験が初年度内に開始できたため実験動物の購入を追加した。しかし、ほぼ想定内の予算で施行できており次年度の予定額について大幅な変更は必要ないと考える。
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