2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of skin fibrosis suppression mechanism by miRNA targeting
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20K09854
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
藤澤 千恵 東邦大学, 医学部, 講師 (10393000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 明照 東邦大学, 医学部, 教授 (30218557)
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 教授 (60202511)
深澤 由里 東邦大学, 医学部, 講師 (90392331)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / micro RNA / bFGF |
Outline of Annual Research Achievements |
創傷治癒過程においてbasic fibroblast growth factor (bFGF)が瘢痕の形成を抑制する効果として、bFGF誘導性のmicroRNA 146b-5p(miRNA 146b-5p)が関与している可能性をin vitroで示した。bFGFにより誘導されたmiRNA146b-5pはPlatelet-derived growth factor receptorα (PDGFRα)mRNAを標的とし、PDGFRαの発現を制御することで、瘢痕の形成過程における線維化を抑制すると考えられた。2020年度はこれらin vitroで確認されたmiRNA146b-5pによる線維化の抑制について、in vivoにおいても同様に瘢痕の形成過程における線維化を抑制するかについて検証を行った。 miRNA 146b-5pが創傷治癒過程における瘢痕の形成にPDGFRαを介して関与していることを検証するために、miRNA146b-5pKOラットとWild typeを用いて比較検討を行った。比較検討の方法として、皮膚の全層欠損損傷を作成後、創傷治癒過程における炎症期(3~4日)、増殖期(7~9日)および瘢痕形成期(12~14日)について形態学的および組織学的比較検討を行った。 その結果、創傷治癒の過程における増殖期~瘢痕形成期ではmiRNA146b-5pKOラットの皮膚創傷部におけるコラーゲン産生、血管新生への影響が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
創傷治癒の過程の炎症期における組織学的な違いは認められなかったが増殖期および瘢痕形成期において血管、膠原繊維に違いが認められた。瘢痕形成期では通常血管数が減少するが、Wild typeと比較してmiRNA146b-5pKOラットでは拡張している血管がより多く認められた。血管が増加中であるかどうかKi67とSD34の二重染色を行った結果、miRNA146b-5pKOラットの瘢痕形成期においてWild typeに比べ血管内皮におけるKi67陽性細胞が多い傾向が認められた。このことからmiRNA146b-5pKOラットでは過剰な瘢痕形成が誘導されている可能性が考えられる。 創傷治癒過程の各時期における膠原繊維の検出をマッソン・トリクローム染色にて確認した。miRNA146b-5pKOラットとWild typeにおいて膠原繊維と細網線維の発現の仕方が異なっていたため、ピクロシリウスレッド染色を行い偏光顕微鏡下でI型コラーゲンとIII型コラーゲンの検出を試みた。瘢痕形成期においてWild typeではI型コラーゲンが層構造を示していたのに対し、miRNA146b-5pKOラットではIII型コラーゲンとI型コラーゲンが不規則に混在しているのが確認された。 またmiRNA146b-5pがPDGFRαの発現に抑制的に作用すると考えられることから各時期におけるPDGFRαの発現を免疫組織学的に検出した。PDGFRαの発現は増殖期に著しく増加し、その後その発現は終息していく傾向が認められた。また、miRNA14b-5pKOラットでPDGFRαが強く染まっている細胞が確認された。 以上の結果から創傷治癒過程においてmiRNA146b-5pが血管増殖、コラーゲン産生に影響を与えている可能性が示唆された。 細胞培養の実験に関しては緊急事態宣言の際に研究活動の制限がかかったため細胞培養を行うことが困難となった。そのため、細胞培養に関連する実験が遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
miR146b-5pKOラットの創傷治癒の過程における更なる解析として2020年度に得られた組織学的な結果について定量的に比較検討を行う。さらに以下について検討を行う。 1.皮膚創傷部位における瘢痕化形成への影響評価:創傷治癒過程の各時期におけるPDGFRα、collagen I、IIIおよびMMPなどの発現量の変化について比較検討を行いmiRNA146b-5pの創傷治癒及び瘢痕形成への影響を評価する。 2.bFGFの創傷治癒過程への影響:miRNA146b-5pはbFGFによりその発現が増加することから皮膚創傷部にbFGFを投与し創傷治癒過程にどのような影響があるかを比較検討する。検討方法としてはまず2020年度と同様に形態学的、組織学的な比較検討を行う。mRNAの発現についても検討を行う。 3.培養線維芽細胞におけるmiRNA146b-5pKOの影響:miRNA146b-5pは培養線維芽細胞をbFGF刺激することにより誘導されることを明らかにしている。miRNA146b-5pおよびWild typeのラットから培養線維芽細胞を作成し、miRNA146b-5pがKOされることによる線維芽細胞への影響を検討する。検討方法として各培養線維芽細胞にbFGF刺激を行い、PDGFRα、collagen I、IIIおよびMMPへの影響をmRNAおよびタンパクレベルで検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ対策に伴う緊急事態宣言発令下において研究活動レベルの制限がかかったため細胞培養等の消耗品の消費が少なくなったため。また、細胞培養に伴う関連実験に関しても次年度へ繰り越されたため来年度分として請求、実験を行う。
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