2020 Fiscal Year Research-status Report
低酸素応答システムからケロイド病態を斬る!~局所免疫の正常化と炎症・線維化の抑制
Project/Area Number |
20K09858
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村尾 尚規 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (90706558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 有平 北海道大学, 医学研究院, 教授 (70271674)
林 利彦 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (00432146) [Withdrawn]
舟山 恵美 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (10533630)
前田 拓 北海道大学, 医学研究院, 助教 (80813542)
石川 耕資 北海道大学, 大学病院, 助教 (60791374)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケロイド / 線維芽細胞 / 低酸素応答 / 制御性T細胞 / HIF-1α |
Outline of Annual Research Achievements |
創傷治癒の異常であるケロイドでは、炎症・免疫反応を抑制する制御性T細胞の局所発現が低下し、炎症が遷延し線維化が亢進した状態である。低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor,以下HIF)は、酸素供給が滞った組織内の細胞で活性化し、様々な遺伝子の発現を誘導し生体の環境への適応を促す転写因子である。HIFは低酸素適応応答だけでなく、炎症、悪性腫瘍の病態にも関与している。炎症部位や腫瘍内では免疫細胞の浸潤、代謝の更新、脆弱な血管により酸素が消費され、低酸素状態となっている。ケロイド内では、HIFのサブタイプの一つであるHIF-1αの発現が亢進しており、低酸素状態と考えられている。ケロイド内で発現するHIF-1αは制御性T細胞を阻害し、ケロイドの炎症と線維化を亢進させている可能性がある。本研究は、ケロイドにおけるHIF-1αによる免疫抑制機構の破綻の有無を明らかにし、ケロイド病態の詳細を解明することを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究計画に従い、informed consentの得られたケロイド患者および非ケロイド患者から採取したケロイド組織、正常皮膚組織、成熟瘢痕組織、肥厚性瘢痕組織、熱傷炎症皮膚組織からパラフィンブロックを作成し、HE染色、免疫組織学的染色(CD4陽性、IL-17、FOXP3、HIF-1α染色)を行った。 結果は、ケロイド組織内のCD4陽性T細胞のうち、FOXP3を発現する細胞は熱傷と比較し、少なかった。IL-17抗体は、ケロイド組織全体を染色したため、非特異的染色陽性反応の可能性もあり、今後条件の検討が必要と考えられた。また、他の組織染色と比較して、ケロイド組織内でのHIF-1αの発現増強を認めた。初年度の目標である、免疫組織学的検証を行い、ケロイド組織内でのHIF1-αの存在を示すことができた。 現時点では解析数が少ないため、次年度以降検体数を増やしさらにHIF-1αと免疫細胞との関連について解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ケロイドの病態におけるHIF-1αの関与と、その制御について検証する。 ケロイド由来線維芽細胞の低酸素下培養を行うなど、低酸素環境下でのケロイド線維芽細胞の反応についてreal time PCRにてⅠ型コラーゲン、TGF-β、α-SMA、IL-6の産生、発現量の解析を進める。 その他、HIF1-αのインヒビターとアクチベーターを用いることでケロイド線維芽細胞の反応の変化を解析する。 また、初年度に引き続きサンプルの収集や免疫組織学的染色、末梢血CD4リンパ球の解析なども継続し、解析数を増やす方針である。得られた結果については統計学的解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はCOVID-19感染の流行により、手術件数を制限せざるをえなかったため、十分な検体数を得られなかった。次年度は検体数を増やし、低酸素条件でのCD4陽性T細胞とケロイド線維芽細胞の共培養等を行う予定であり、次年度使用額を計上した。
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