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2021 Fiscal Year Research-status Report

低酸素応答システムからケロイド病態を斬る!~局所免疫の正常化と炎症・線維化の抑制

Research Project

Project/Area Number 20K09858
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

村尾 尚規  北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (90706558)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山本 有平  北海道大学, 医学研究院, 教授 (70271674)
林 利彦  北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (00432146) [Withdrawn]
舟山 恵美  北海道大学, 医学研究院, 准教授 (10533630)
前田 拓  北海道大学, 医学研究院, 助教 (80813542)
石川 耕資  北海道大学, 大学病院, 助教 (60791374)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsケロイド / 線維芽細胞 / 低酸素応答 / 制御性T細胞 / HIF-1α
Outline of Annual Research Achievements

ケロイドは創傷治癒過程の異常により炎症と線維化が亢進した状態である。抗原とサイトカインの刺激を受けたCD4陽性T細胞、制御性T細胞とTh17細胞は相互に制御しバランスを保っており、炎症性疾患の発症や病態は制御性T細胞とTh17細胞のバランスにより影響される。われわれは既報でケロイド内では制御性T細胞の発現が低下し、免疫バランスの破綻により 炎症が遷延し線維化が亢進することを報告した。一方、近年ケロイド内は、低酸素状態であることがわかってきた。低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor、HIF)は、酸素供給が滞った組織内の細胞で活性化し 様々な遺伝子の発現を誘導し、生体の環境への適応を促す転写因子である。HIFは低酸素適応応答だけでなく、炎症や悪性腫瘍の病態にも関与する。HIFのサブタイプの中でも、ケロイド内ではHIF-1αの発現が亢進しており、低酸素状態を反映していると考えられる。HIF-1αはTh17細胞への分化を促進するが、制御性T細胞への分化を抑制し、免疫バランスを破綻させる。ケロイドにおいても持続的なHIF-1αの発現亢進が制御性T細胞とTh17細胞の免疫バランスを破綻させることで、ケロイド病態を悪化させている可能性があると仮定し、本研究を計画した。本年度は、文書による同意を得て、17例のケロイド患者からケロイド組織の採取を行い、そのうち15例から血液サンプルを採取することができた。採取した組織の部位別内訳は、耳垂7例、耳介6例、頚部1例、肩部1例、臍部2例であった。パラフィンブロック作成及び初代培養を行い、線維芽細胞を凍結保存した。また、採取した血液検体からLeucosep管を用いて末梢血単核球を分離し、凍結保存した。今後はこれらの検体を使用して共培養を行う予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の計画では、本年度はケロイド組織における低酸素の影響の検証として、1)ケロイド線維芽細胞の低酸素下培養、2)CD4陽性T細胞の低酸素下培養、3)低酸素下線維芽細胞・CD4陽性T細胞の共培養を行う予定であった。すなわち、1)ケロイド組織よりexplant法にて抽出した線維芽細胞をマルチガスインキュベーターを用いて低酸素下、通常酸素下で培養し、サイトカイン産生を評価する。 2)ケロイド患者から得られた末梢血より濃度勾配により単核球を分離し、さらに磁気ビーズ法にてCD4陽性T細胞を分離し、CD4陽性T細胞を低酸素下、通常酸素下で培養し、活性化した後の制御性T細胞、Th17細胞の分化誘導率についてFACSで評価する。制御性T細胞、Th17細胞のそれぞれの転写因子であるFOXP3、RORC2、およびそれらが産生するTGF-βやIL-10、IL-17等のmRNA発現をreal time PCRにて評価し、得られた結果より低酸素下培養時の制御性T細胞/Th17バランス破綻の有無を検討する。 3)線維芽細胞/CD4陽性T細胞の共培養モデルを用い、低酸素下、通常酸素下での培養によりサイトカイン産生の変化を評価する予定であった。しかしながら、COVID-19の流行による2020年度の手術件数の減少から十分な検体数を採取できなかった。本年度は検体採取を積極的に行い、次年度に上記解析を進める予定である。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、本年度に達成できなかったケロイド線維芽細胞およびケロイド患者末梢血より採取分離したCD4陽性T細胞の低酸素下培養および両者の共培養を行い、制御性T細胞、Th17細胞のそれぞれの転写因子であるFOXP3、RORC2、およびそれらが産生するTGF-βやIL-10、IL-17等のmRNA発現をreal time PCRにて評価し、得られた結果より低酸素下培養時の制御性T細胞/Th17バランス破綻の有無を検討する予定である。また、マルチガスインキュベーターを用いて、高酸素下共培養、すなわちHIF-1αの発現をブロックした状態で、上記低酸素下と同様に共培養を行い、培養上清中に含まれるサイトカイン産生の解析を行う予定である。

Causes of Carryover

本年度は、低酸素下培養および高酸素下培養を行わなかったため、real time PCRやWestern blot、FACS等の解析に必要な試薬等の諸費が使用されなかった。次年度にそれらの解析を行う予定であるため、次年度使用額への繰り越しが必要となった。

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Published: 2022-12-28  

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