2020 Fiscal Year Research-status Report
臨床ゲノム研究に基づく非興奮性細胞における電位依存性カルシウムチャネル機能の解明
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20K09876
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
若森 実 東北大学, 歯学研究科, 教授 (50222401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 卓史 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (90585324)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非興奮性細胞 / 電位依存性チャネル / カルシウムチャネル / パッチクランプ / 静止膜電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
電位依存性Ca2+チャネルは筋肉や神経などの興奮性組織で細胞膜の興奮性の制御などに重要な役割を担っているが、非興奮性細胞における電位依存性Ca2+チャネルの生理機能は不明である。しかし、Timothy症候群は電位依存性L型Ca2+チャネルの変異(G406R)が原因で、①エナメル質減形成・上顎骨劣成長、②合指症などを呈することから(Cell 119,19-31, 2004)、非興奮性組織でも電位依存性L型Ca2+チャネルが重要な働きをしていることが示唆される。しかし、「非興奮性細胞の膜電位は変動するか?」もまだ不明である。 初年度は非興奮性細胞である骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞にパッチクランプ法を適用し、K+を含むピペット内液を用いてホールセル法形成後、膜電流固定法に切り替え、細胞の静止膜電位を記録した。静止膜電位の平均は-7.7 ± 0.7 mV (n = 25)であった。更に、Cs+を含むピペット内液を用いてホールセル法形成後、膜電位固定法に切り替え保持電位-80 mVから-30 mV ~ 30 mVまでの矩形波を与えても電位依存性Ca2+チャネル電流は記録できなかった。一方、1 mM Zn2+を投与すると、2種類の過分極応答が記録できた。-6.1 ± 0.6 mVの膜電位が-14.2 ± 1.1 mV (n = 9)まで過分極したグループと、-8.5 ± 1.1 mVの膜電位が-64.6 ± 1.3 mV (n = 16)まで過分極したグループに分類できた。以上の結果より、非興奮性細胞でも外部環境の変化により、静止膜電位が大きく変化することが明らかになった。 非興奮細胞にも発現しているカプサイシン受容体(TRPV1チャネル)は酸とカプサイシンで活性化される。更に電位依存性にも活性化される。電位依存性の活性化速度が酸の方が速いことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の拡大により、研究がストップした時期があったため少し遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に予定していた歯原性上皮細胞での実験は骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞で行った実験とほぼ同じ手法を用いる予定であるため、遅れは1年で取り戻し、2年目の当初計画も推進する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大により、2か月余り、大学での研究がストップしたため。
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