2021 Fiscal Year Research-status Report
臨床ゲノム研究に基づく非興奮性細胞における電位依存性カルシウムチャネル機能の解明
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20K09876
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
若森 実 東北大学, 歯学研究科, 教授 (50222401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 卓史 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (90585324)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非興奮性細胞 / 電位依存性チャネル / カルシウムチャネル / パッチクランプ / 静止膜電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
「非興奮性細胞の膜電位は変動するか?」を明らかにするために、非興奮性細胞である骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞にパッチクランプ法を適用し、静止膜電位を計測すると平均は-7.7 ± 0.7 mV (n = 25)であった。1 mM Zn2+を投与すると、2種類の過分極応答が記録できた。-6.1 ± 0.6 mVの膜電位が-14.2 ± 1.1 mV (n = 9)まで過分極したグループと、-8.5 ± 1.1 mVの膜電位が-64.6± 1.3 mV (n = 16)まで過分極したグループに分類できた。前者では膜抵抗が上がっていたため、非選択的陽イオンチャネルが遮断されて過分極したことが判明した。一方、後者では膜抵抗が下がっていたため、K+チャネルが開口して過分極したことが判明した。K+チャネル開口の細胞内機構を薬理学的・分子生物学的に検討した。K+チャネルの開口には細胞内Ca2+が必要であり、RT-PCR法によりSK、IK、BKチャネルが発現していた。ピペット内液にZn2+キレーターを添加するとBKチャネルは活性化されなくなったが、IKチャネルは影響を受けなかった。これはBKチャネルが細胞内のZn2+によって活性化させることを意味する。以上の結果より、生体内に豊富に存在するZn2+がK+チャネルを活性化させることにより非興奮性細胞でも膜電位が大きく変化することが明らかになった。 自閉スペクトラム症に関係する可能性のある新たな変異がCav1.3で発見された。変異部位がポア領域に近いため、ヒト大脳皮質由来のCACNA1DのcDNAをクローニングし、野生型チャネルと変異チャネルをBHK細胞に強制発現させてシングルチャネルコンダクタンスを検討することにした。現在、野生型チャネルの解析が終了し、約23 pSであることが判明した。変異チャネルの解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな変異が見出され、その変異の電気生理学的解析を行っているが、全体的にはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度になるため、論文化に向けて研究を進める。
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Causes of Carryover |
キャンペーン商品を購入したりして、予定よりコストカットをしたため次年度使用額が11,148円となった。次年度に物品費代として研究に必要な消耗品を購入する予定である。
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