2020 Fiscal Year Research-status Report
miR-125bを導入した基質小胞による癌骨転移治療の検討
Project/Area Number |
20K09879
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
南崎 朋子 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (30452593)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉子 裕二 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20263709)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | miRNA / miR-125b / 骨転移 / 基質小胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに骨芽細胞由来の基質小胞(MV)に包含されるmiR-125b-5p(miR-125b)が破骨細胞分化を抑制すること(Commun Biol, 2020)や、MVおよびmiR-125bがin vitroで乳がん細胞の増殖・遊走・浸潤能を抑制し、in vivoで海綿骨吸収やがん転移巣拡大を抑制することを明らかにした(2018年度終了基盤C研究)。そこで本件において、miR-125b高含有MVを利用してヌードマウスがん骨転移モデルの治療を試みるため、2020年度は乳がん細胞におけるmiR-125bの標的遺伝子を同定すること、およびmiR-125b導入MVをマウスに注入した際の体内動態を明らかにすることを目的とした。 miRTarBaseを用いたデータベースサーチにより、ヒト乳がん細胞におけるmiR-125bの推定標的遺伝子を93遺伝子まで絞った。PY8119細胞(マウス乳がん細胞)にmiR-125b mimicまたはnegative control mimicを導入し、24時間後にRNAを回収してcDNA合成を行い、93遺伝子およびhouse keeping遺伝子を対象としたカスタムPCRアレイプレートを用いてRT-PCRを行ったところ、サンプル間の誤差が大きく、またヒトとマウスの相同性の問題から、標的遺伝子を同定することができなかった。 miR-125b Tgマウスと2.3kb Col1-Cre/Lyn-Venusマウス(骨芽細胞膜がVenusタンパクで標識されるマウス)を交配してmiR-125btg/Col1-Cre/Lyn-Venusマウスを得た。頭頂骨から骨芽細胞を採取して培養し、細胞とMVからRNAを回収したところ、細胞ではmiR-125bレベルがCol1-Cre/Lyn-Venusマウス由来細胞と比較して高かったものの、MVでは差がみられなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
標的遺伝子の同定のために用いたPY8119細胞は他の乳がん細胞に比べて内因性のmiR-125bレベルが高く、miR-125b mimic導入による変化をみる(標的遺伝子の探索)のに適していないと考えられた。そこで、MDA-MB-231細胞(ヒト乳がん細胞)にmiR-125b mimicおよびnegative control mimicを導入し、RNA-seqを実施する方法に変更する。 また、miR-125b Tgマウス由来骨芽細胞を培養してMVを回収したものの、miR-125b高含有MVを得ることはできなかったので、Col1-Cre/Lyn-Venusマウス由来骨芽細胞を培養してMVを回収し、これにmiR-125bを導入する方法に切り替える。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、乳がん細胞におけるmiR-125bの標的遺伝子の探索を行う。再現性の確認された標的遺伝子(複数の可能性あり)へのmiR-125bの結合を確認するため、レポーターアッセイを行う。(=標的遺伝子の同定) MDA-MB-231細胞で標的遺伝子をノックダウンあるいは過剰発現し、miR-125b mimicトランスフェクション時に確認されたがん細胞の増殖・浸潤・遊走能抑制作用(2018年度終了基盤C研究)と同様あるいはミラーイメージとなることを確認する。また、標的遺伝子の下流因子について、がん細胞の増殖・浸潤・遊走能に関する既存の報告およびデータベースを用いて調べ、そのmRNA・タンパクレベルを解析する。 また、miR-125bをMVに導入し、miR-125b高含有MVを作製する。これをヌードマウス骨転移モデルに投与して、MVの体内動態(DDS)を組織学的に解析するとともに、骨転移への影響をマイクロCT解析・組織学的解析により評価する。miR-125bによる副作用の有無を確認するため、血液学・血液生化学的検査、および主要臓器の組織解析も行う。→副作用がみられた場合、標的遺伝子のノックダウンあるいはその下流因子のレベルを変動させたMVに変更する可能性がある。
|
Causes of Carryover |
消耗品費の当初見込みより安価で購入できたため、830円の次年度使用額が生じた。 次年度は当初予定していなかったRNA-seqを行う見込みであり、これに費消する予定である。
|