2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of selective cytotoxicity against malignant cells by chromone derivatives
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20K09885
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
坂上 宏 明海大学, 歯学部, 教授 (50138484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 靖一 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 教授 (10142449)
奥平 准之 埼玉医科大学, 医学部, 実験助手 (10635585) [Withdrawn]
杉田 義昭 城西大学, 薬学部, 教授 (20255029)
佐藤 聡 東京理科大学, 薬学部薬学科, 講師 (40530663)
坂東 健二郎 明海大学, 歯学部, 講師 (50347093)
高尾 浩一 城西大学, 薬学部, 准教授 (70337484)
天野 滋 明海大学, 歯学部, 准教授 (90167958)
植沢 芳広 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (90322528)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クロモン誘導体 / 口腔扁平上皮癌細胞 / 構造活性相関 / 抗炎症効果 / キナーゼ阻害活性 / パスウェイ解析 / 細胞死のタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床で使用されている抗がん剤の多くは、口腔粘膜炎、神経毒性、血管外漏出などの副作用を起こすことが報告されている。この問題を解決するためには、腫瘍選択性と副作用の両方を同時に測定する必要がある。我々は、天然有機化合物の多くは腫瘍選択性が低いが、フラボノイドの骨格に含まれるクロモン環に様々な置換基を導入した誘導体が高い腫瘍選択性を示すことを明らかにしてきた。 実験1:5シリーズの合計65化合物の腫瘍選択性を検討した。内訳は、シリーズA,2-インドリルクロモン誘導体9種、シリーズB、インンドールーオーロン誘導体、10種、シリーズC,カプサイシン誘導体23種、シリーズD、6,7-スチリルクロモン誘導体、12種、シリーズE、3-ベンジリデン クロマノン誘導体、11種です。このうち、腫瘍選択性が確認されたのは、シリーズA 2化合物, シリーズCの2種、6と7,シリーズD 1種である。他の化合物は、水酸基やOCH3(メトキシ基)があるかないかで活性が低下した。これは、構造が少し異なるだけで、官能基の種類、位置が僅かに異なるだけで、腫瘍選択性が著しく変化すること、おそらく、腫瘍選択性を支配するのは、分子の3次元構造であることが予想される。現在、これらの誘導体のケラチノサイト毒性や神経毒性、細胞周期解析、細胞死のタイプを検討中である。 実験2:7-メトキシ 3-ヒドロキシスチリルクロモンが、抗腫瘍効果以外に、HMGB1誘導性の炎症を抑制すること、つまり抗炎症作用をも示す可能性が示唆された。現在までのところ、この誘導体は、20種類のキナーゼ阻害活性を検討したが、顕著な抑制効果は見られなかった。他の分子についても同様な取り組みが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでのクロモン誘導体の中で、最もヒト口腔扁平上皮癌細胞に対する腫瘍選択性の高い7-メトキシ-3-[(1E)-2-フェニルエテニル]-4H-1-ベンゾピラン-4-オン [7]、3-[(1E)-2-(4-ヒドロキシフェニル)エテニル]-7-メトキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オン [14]の標識化合物がまだできていないので、細胞への取り込みや実験がまだ進んでいない。それに伴い、標的となるキナーゼもまだ同定できていない。更に、神経毒性についての実験も遅れている。 一方、上記化合物のパスウェイ解析は進んでおり、エストロゲン受容体とPPARgとの関連が示唆された。クロモン誘導体の高い腫瘍選択性は、様々なクロモン誘導体のシリーズで確認されており、リード化合物としての有用性は確認している。更に、7-メトキシ 3-ヒドロキシスチリルクロモンは、抗炎症作用を示すことが示唆されたこと、ケラチノサイト毒性が低いことを確認している。従って、総合評価としては、全体的には、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記、2化合物の細胞死誘導について、アポトーシス関連タンパク質の発現を詳細に解析する。エストロゲン受容体とPPARgの活性化に関係するシグナル伝達経路に対する影響も検討する。パスウェイ解析は、これまで、新規誘導体シリーズにおいても行って行き、各種キナーゼ阻害効果、ヒト歯肉線維芽細胞は歯根膜線維芽細胞に対するIL-1β誘導の炎症の阻害活性を示すか否かについても検討する。クロモン誘導体においては、抗腫瘍活性と抗炎症活性がともに発現する場合もあるが、アズレン誘導体においては、この二つの活性が必ずしも連動していない。化合物の種類により、異なるのか、検討を要する。
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Research Products
(11 results)