2022 Fiscal Year Research-status Report
ガウシアルシフェラーゼを用いたインスリン分泌解析の新展開
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20K09886
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 崇弘 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70298545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 慧 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (40804406)
古野 忠秀 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (80254308)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生物発光イメージング / インスリン分泌 / ガウシアルシフェラーゼ / 開口分泌 / エキソサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、ヒトインスリンとガウシアルシフェラーゼ(Gaussia Luciferase, GLase)の融合タンパク質(Insulin-GLase)をレポーターとして利用し、独自開発の「分泌タンパク質の生物発光イメージング法」で、グルコース応答性の周期性インスリン分泌動態を可視化している。本手法を用いて、膵島と同様に、細胞塊(スフェロイド)で周期性インスリン分泌を示すInsulin-GLase定常発現ラット膵β細胞株であるiGL細胞を樹立している。 今回、8倍希釈したマトリゲルでコーティングしたガラスボトムディッシュを用いた生物発光イメージング解析により、iGL細胞は膵島から単離したラット初代培養β細胞と同様の周期性でインスリン分泌を行うことを示した。 ヒトで高頻度に利用されるコドンのみを使用した最適化遺伝子(pGLuc)を用いた効率の良いInsulin-GLase発現系の構築では、pGLuc遺伝子を利用したInsulin-GLase定常発現膵β細胞の作出し、周期性インスリン分泌のイメージングに取り組み、グルコース応答性インスリン分泌量変化の高いクローンを得ることはできた一方で、周期性インスリン分泌の点では、iGL細胞の方が初代培養細胞に近い応答性を示した。 また、GLase融合タンパク質を用いた生物発光イメージング法を適用し、インスリン分泌促進に関わるオステオカルシンの骨芽細胞からの分泌動態を可視化した。局所で骨形成を促進するBMP2と比較して、血中でホルモン様に作用することが知られているオステオカルシンは開口分泌部位から速やかに拡散することを示した。なお、BMP2が開口分泌部位から徐々に拡散するためには、N末端に存在するヘパラン硫酸結合部位(塩基性アミノ酸配列)が必要であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タンパク質発現効率の高いpGLucを利用した新たなInsulin-GLase定常発現細胞株でiGL細胞や初代培養細胞と同様の周期性インスリン分泌が観察できていない。また、細胞レベルでの実験に注力したため、動物レベル、膵島レベルでの解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
iGL細胞での周期性インスリン分泌解析系を改善したので、論文発表を行う。また、pGLucを利用した新たなInsulin-GLase融合タンパク質発現系は、iGL細胞で改良した実験条件を適用し、周期性インスリン分泌の可視化解析および定量解析の実験を進める。また、ラット膵島の調整方法を改良できていることから、発光イメージングおよび発光測定による定量解析実験系の改良に取り組む。
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Causes of Carryover |
細胞レベルでの実験を進めた一方で、動物レベルの実験が進まず、研究費を残す形となった。動物レベルでの実験を進めるための動物購入および飼育、発光イメージング解析実験、ルミノメーター解析実験を充実させることで、研究を推進する。
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Research Products
(3 results)