2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the role of Nopp140, a regulator of rRNA biosynthesis, in skeletal formation
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20K09891
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松裏 恵子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 特任研究員 (20770423)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Nopp140 / Runx2 / 軟骨増殖 / 軟骨分化 / BMPシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室で、Runx2ノックアウト(ko)マウス由来の初代軟骨細胞およびRunx2およびp53ノックアウト(ko)マウス由来の軟骨細胞株にRunx2を導入、Runx2のターゲット遺伝子を探索し、誘導される遺伝子の1つとしてNopp140 (Nucleolar and coiled-body phosphoprotein 1)が同定された。Nopp140タンパク質は天然変性タンパク質(Intrinsically disordered protein:IDP )であり、重要な標的分子(他のタンパク質、 DNA、RNA、および小さな受容体など)の分子認識の機能があることが知られる。また、軟骨細胞でのNopp140に関する研究は全く報告されていない。しかし、Nopp140が軟骨細胞で発現していることは確認しており、生理的にも軟骨細胞増殖・分化・アポトーシスに関与している可能性があると考えられた。Nopp140の軟骨細胞における機能を明らかにするために、軟骨細胞特異的に遺伝子発現を誘導するCo2a1プロモーターを用いた恒常活性型Nopp140トランスジェニック(Tg)マウスを作製した。Nopp140 Tgマウスは身体が小さく、四肢が短く、頭部の前後径が短縮していて、ダルマのような外観を呈した。また、脛骨において、HE染色により、成長板は縦横共に短く、特に静止軟骨細胞層と増殖軟骨細胞層が長軸方向に短縮していた。静止軟骨細胞層では、細胞形態が野生型マウスよりやや大きい細胞が多数認められた。増殖軟骨細胞層の柱状構造は乱れ、柱状構造を取らない軽度肥大化した細胞が増殖軟骨細胞層に見られた。また、成長板全体に細胞密度が低下していた。したがって、Nopp140は、軟骨細胞の増殖および分化に関与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Nopp140Tgマウスの組織解析は順調に終了した。Nopp140が軟骨細胞の増殖・分化にどのような働きを持つかをin vivoで解明するために、CRISPR/Cas9の系を用いてNopp140のgermline koマウス、Nopp140 floxマウスの作製を行なっているが、作製に時間がかかっている。したがって、germline koマウスおよびコンディショナルkoマウスの骨格解析、組織学的解析および遺伝子発現解析は次年度行う。
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Strategy for Future Research Activity |
Nopp140 koマウス、Nopp140fl/flCreマウスの解析 1)リボソーム成熟の最終段階は、28S rRNAなどのリボソームサブユニットがribosomal RNA (rRNA)前駆体からプロセシングされ、細胞質に移行するため、成熟28S rRNAに対する特異抗体(Y10B)を用いた免疫組織染色を行い、Nopp140の欠損がリボソーム生合成に影響するか調べる。 2)Nopp140 koマウス、Nopp140fl/flCreマウス共に、胎生15.5日、胎生18.5日で骨格標本を作製する。胎生15.5日、胎生16.5日の四肢で組織切片を作製、H-E染色を行うと共に、Col2a1, Ihh, Col10a1, osteopontin, Col1a1プローベを用いたin situ hybridizationを行い、軟骨細胞・骨芽細胞分化を調べる。BrdU染色、TUNEL染色で軟骨細胞の増殖・アポトーシスを調べる。さらにRunx2抗体を用いた免疫組織染色を行う。 3)胎生18.5日で頭部の組織切片を作製、H-E染色を行うと共に、Col1a1, osteopontin, osteocalcinプローベを用いたin situ hybridizationを行い、頭蓋冠での骨芽細胞分化を調べる。BrdU染色、TUNEL染色で骨芽細胞の増殖・アポトーシスを調べる。さらにRunx2抗体を用いた免疫組織染色を行う。
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Causes of Carryover |
Nopp140のgermline koマウス、Nopp140 floxマウスの作製が遅れ、骨格、組織学的および遺伝子発現解析を次年度行うこととしたため、次年度使用額が生じた。令和3年度は、この次年度使用額を用いて、抗体および骨格解析、組織学的解析に必要な試薬を購入するとともに、遺伝子発現解析に必要なリアルタイムRT-PCR関連試薬を購入する。
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Research Products
(2 results)