2022 Fiscal Year Annual Research Report
味蕾基底細胞の再定義:「細胞型分化の解明」と「味蕾オルガノイド評価系の確立」
Project/Area Number |
20K09892
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三浦 裕仁 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (80353936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳 江梨子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (20791700)
原田 秀逸 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (60128452)
山中 淳之 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (80343367)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の味蕾では、周囲の上皮と共通の幹細胞から新しい味蕾細胞が常に分化し、古い細胞と置き換わっている(ターンオーバー)。味蕾を構成するI, II, III型細胞は、それぞれ異なる味質を受容する細胞を含んでおり、細胞型に特異的な分子を発現する。五基本味のうち、塩味はI型、甘味・旨味・苦味はII型、酸味はIII型の味蕾細胞が受容するとされてきた。しかし、最近、五基本味全てを受容できるIII型細胞が発見され、II型細胞の分化を制御する転写因子が低濃度塩味を受容する細胞の分化にも必須であることが明らかにされた。味蕾を構成する細胞の詳細は、研究の進展した現在でも、不明な点が多く残されている。味蕾細胞の解析には、近年、開発された味蕾オルガノイドの有効性が注目されている。味蕾幹細胞を培養して、形成されるオルガノイド内には、I, II, III型細胞に特異的な分子が発現し、味応答も再現される。しかし、五基本味全てに応答できるIII型細胞が含まれているかは明らかになっていない。また、オルガノイドに含まれる味応答細胞は細胞の集合である味蕾構造を形成しない。生体とオルガノイドの味蕾細胞には、未だ解明されていない違いが存在すると推測される。また、私たちは、味蕾のI, II, III型細胞が味蕾の基底部に存在するSonic hedgehog (Shh)陽性細胞から分化することを報告した。本研究では、味蕾に含まれるすべての細胞を可視化できるホールマウント免疫染色を用いて、Shh(+)細胞の解析を進めた。その結果、味蕾細胞分化の極めて初期の段階にII型III型細胞の分化を制御する転写因子が発現していること、また、II型III型いずれに分化するか決定される前の段階の状態であると推測される細胞の存在が明らかになった。また、並行して味蕾細胞の機能消失や細胞死の解析を進めた。
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