2022 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病菌と免疫抑制型受容体の相互作用を標的とした新規歯周病治療法の開発
Project/Area Number |
20K09907
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
三宅 靖延 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10392143)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯周病 / 免疫回避 / ジンジパイン |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病菌P.gingivalisがマクロファージや樹状細胞が発現している免疫抑制型受容体であるSiglecを介して、宿主免疫応答を抑制していることを見出した。歯周病菌P.gingivalisとSiglecとの相互作用を詳しく解析したところ、歯周病菌P.gingivalisはタンパク質分解酵素ジンジパインによりSiglecを切断し、切断されたSiglecに歯周病菌P.gingivalisが結合することで、宿主免疫応答を抑制していることが判明した。ジンジパインには基質特異性が異なるKgp, RgpA, RgpBの3種類があり、それぞれの欠損株の解析から、KgpがSiglecを切断していることが明らかとなった。また、Kgpが切断する7箇所のリジン残基を特定した。Kgpの阻害剤は、in vitroにおいて、歯周病菌P.gingivalisによるマクロファージ細胞表面のSiglecの切断を抑制し、歯周病菌P.gingivalisとSiglecとの結合を阻害することで、Siglecを介した免疫抑制効果を打ち消し、マクロファージによるTNFやIL-8などの炎症性サイトカイン、ケモカイン産生を上昇させた。さらに、マウスを用いた歯周病菌P.gingivalisの感染実験モデルを用いて、Kgp阻害剤の個体レベルので効果を検討したところ、脾臓や末梢血における炎症生サイトカイン、ケモカイン産生が向上し、歯周病菌P.gingivalisの菌数が減少した。これらの結果から、Kgp阻害剤は、歯周病菌P.gingivalisによるSiglecを介した免疫回避機構をキャンセルすることで、本来の宿主免疫応答を回復させることができることが明らかとなり、歯周病菌P.gingivalisに対する新たな治療薬となりうる可能性が示唆された。
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[Journal Article] Variant Allele of ALDH2, rs671 Associates with Attenuated Post-Vaccination Response in Anti-SARS-CoV-2 Spike Protein IgG: A Prospective Study in the Japanese General Population.2022
Author(s)
Matsumoto, A., Hara, M., Ashenagar, MS., Tokiya, M., Sawada, T., Iwasaka, C., Furukawa, T., Kitagawa, K., Miyake, Y. and Hirota, Y.
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Journal Title
Vaccines
Volume: 10
Pages: 1035
DOI
Peer Reviewed
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