2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規口腔癌特異的遺伝子であるSTOX2の機能解明と診断・治療への応用の模索
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20K09912
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
笹平 智則 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90405374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 都 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40453170)
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔癌 / MIA gene family / 腫瘍マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
Melanoma inhibitory activity (MIA) gene familyはメラノーマ等の進展を促進する働きを有しており、口腔癌においても腫瘍促進性の分泌タンパクとして機能している。申請者らはMIAの新たな下流シグナルとしてstorkhead-box protein 2 (STOX2) を見いだしており、STOX2はMIA gene familyと相互作用することで口腔癌促進的に作用する。 本年度は、網羅的遺伝子発現解析によりSTOX2の下流に存在する分子Xをあらたに同定した。この分子に関しては、ホメオスタシスの維持に関与しているという少数の報告があるのみで、詳細な機能については正常のみならずがんでもほとんど分かっていない。口腔癌材料を用いた免疫組織化学において、分子Xの発現は浸潤パターンやリンパ節転移と有意に相関していた。また、パラフィン切片からマイクロダイセクションにより口腔癌細胞のみを分離し遺伝子発現解析を行ったところ、同様にリンパ節転移症例ほど高い発現レベルを示していた。口腔癌細胞株を用いたin vitroの解析において、分子XはEMT形質を獲得することで増殖能、浸潤能、治療反応性に関与していることが明らかとなった。また、TGFβシグナルとの関連性についても見いだした。 以上より、本分子は口腔癌においてSTOX2に関連した新たな分子であることが明らかとなった。リンパ節転移や浸潤、治療抵抗性等に関与することより、本分子を標的とした新たな口腔癌治診断、治療の可能性が期待される。
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