2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of human gingival organoid systems and investigation for the induction mechanisms of gingival inflammation and autoimmune diseases.
Project/Area Number |
20K09913
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
津田 啓方 日本大学, 歯学部, 准教授 (60325470)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 剛和 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80434075)
鳥海 拓 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40610308)
篠塚 啓二 日本大学, 歯学部, 助教 (30431745)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 三次元培養系 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は患者由来の初代ヒト歯肉上皮細胞および線維芽細胞の入手が難しかったため、本研究において最もベースとなる初代歯肉上皮細胞および線維芽細胞を用いた歯肉三次元培養系を作成することができなかった。そのため、本研究の次のステップに必要なヒト単球性白血病THP-1細胞株に緑色蛍光タンパク質EGFPの安定発現株を作成した。次いで、昨年までに構築していた歯肉株化細胞を用いた三次元培養系を作成し、そこに歯周病原細菌代謝産物である酪酸等を作用させたときに歯肉上皮が示す反応について調べた。酪酸を24時間以降72時間まで作用させ培養上清中に放出された2本鎖DNAをSYTOX-green色素を用いて測定したところ、コントロールと比較して酪酸を作用させた三次元歯肉培養系からは有意に多くのDNAの放出が確認された。この結果は二次元歯肉上皮株化細胞単独における同様の実験とほぼ同じ結果であった。このDNA放出はネクローシス様の細胞死によるものであるので、次にDamage-associated molecular patterns (DAMPs)の放出についても調べたところ、酪酸濃度依存的にDAMPsであるSin3A associated protein 130 (SAP130)やHigh mobility group box 1 (HMGB1)等の放出が確認された。これらの結果から、株化細胞を用いた三次元培養系では酪酸誘導の歯肉上皮細胞の細胞死及びそれに伴うDAMPs放出誘導が起こる事がわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はヒト歯肉初代培養細胞を用いた三次元培養系を作成し、そこに白血球や毛細血管等を導入することにより、より生体に近い三次元歯肉組織を目的としている。そのため、ヒト歯肉組織から採取した初代歯肉上皮細胞および初代歯肉線維芽細胞が必要となる。しかしながら、新型コロナウイルスは歯肉上皮細胞にも感染するため、本年度前半では患者から採取した歯肉組織を使用することができなかった。そのため、株化細胞を用いて歯肉三次元培養系を作成することを試み、それを用いて、二次元歯肉上皮培養系と同様の結果が得られるかどうかについて調べることとした。それと並行して、マクロファージを三次元培養系に導入した時に細胞をトレースするために、緑色蛍光EGFPタンパクをヒトTHP-1細胞に導入するなどの下準備も進んできた。本年度後半からは、RT-PCR法にて新型コロナウイルス感染を確認した後に手術を行う患者より歯肉組織を入手することができる様になったので、現在初代歯肉上皮細胞の培養を始めることができている。これらの事から、やや遅れはあるものの、次年度以降の準備は整えつつあると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、初代培養細胞の採取を行っている。これらの初代細胞の採取、保存ができ次第三次元培養系を作成作業を行う。三次元培養系の成功率がまだ3~4割程度と低く、まずはその成功率が上がる条件を見つける作業を行う。また、初代培養細胞をしっかりと確保できる体制を作るように努力する。さらに、間葉系幹細胞を採取してからの実験は幹細胞と線維芽細胞の混合割合の検討に時間を要しそうであると考える。そのことから、まずはマクロファージや白血球、血管内皮細胞等の導入実験を行い、それがうまくいってから幹細胞の条件検討を行う。
|
Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルス対応の為、最も重要な研究試料の採取が困難だったことから、予定の実験ができず、外部委託費等に残金が生じた。また、参加する予定であった歯科基礎医学会への参加ができなくなってしまったため、旅費の残金が発生した。次年度への繰越金は令和3年度の基金分と合わせて外部委託費等に使用する。
|
Research Products
(3 results)