2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of human gingival organoid systems and investigation for the induction mechanisms of gingival inflammation and autoimmune diseases.
Project/Area Number |
20K09913
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
津田 啓方 日本大学, 歯学部, 准教授 (60325470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 剛和 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80434075)
鳥海 拓 九州栄養福祉大学, リハビリテーション学部, 准教授 (40610308)
篠塚 啓二 日本大学, 歯学部, 助教 (30431745)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯肉オルガノイド / 三次元培養系 / 歯肉培養系モデル / オートファジー / 細胞死 / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年までは初代ヒト歯肉線維芽細胞の単離・保存は比較的簡単にできたものの、初代ヒト歯肉上皮細胞の単離ができずにいた。初代ヒト歯肉上皮細胞が単離・培養できなければ本研究の目的は達成できないので、上皮細胞の単離・培養を試みたところ、まだ、不安定ながらも、単離・培養および、保存するところまで進むことができた。患者より採取した歯肉片の状態により単離・培養の成否が強く影響されている傾向がみられた。ヒト歯肉上皮株化細胞を用いた実験では、酪酸などの歯周病原細菌の産生する探鎖脂肪酸の作用により上皮細胞は細胞死を引き起こすが、そのメカニズムについては、いくつかの必要条件はわかっているものの、それらがどのように関係しあっているかについてはほとんどわかっていないので、そのメカニズムの解明を併せて行ってきた。この細胞死には、オートファジーおよび活性酸素種産生の誘導が必要であることがこれまでにわかっていたが、これらがどのように関係しているかについて調べるためにN-アセチルシステインなどの活性酸素スカベンジャー存在下で短鎖脂肪酸誘導の細胞死を調べたところ細胞死は抑制され、その上、オートファジーも抑制されることが分かった。細胞死にはオートファジー誘導が重要であることから、短鎖脂肪酸誘導オートファジーは、短鎖脂肪酸により誘導された活性酸素種がオートファジーを引き起こし、それが短鎖脂肪酸誘導細胞死に重要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延により昨年は思うようにできなかった外来患者由来の歯肉組織の採取はしやすくなったものの、初代歯肉上皮細胞の単離および増殖・保存の条件をつかむのにかなり苦労した。今も不安定であり、その安定条件を探しているところである。初代歯肉上皮細胞を得ることができるまでは、歯肉上皮細胞株化細胞を用いた短鎖脂肪酸誘導細胞死メカニズム解明実験を行い、短鎖脂肪酸が歯肉オルガノイドに及ぼす影響を調べるときの基礎情報を得ることを並行して行った。また、研究室等の移転作業に伴う業務に加えて、実験スタッフの新型コロナウイルス感染への対応等が重なったために、本年度も当初の様には進んでいない。しかしながら、本研究ではヒト臍帯静脈内皮細胞も必要であることから同細胞の培養及び保存も併せて行い、十分量の細胞を保存することができたことから、やや遅れはあるものの、次年度の準備は概ねできつつあると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
歯肉オルガノイド作成に必要な、初代ヒト歯肉線維芽細胞、ヒト臍帯静脈内皮細胞、およびヒト単球性白血病細胞THP-1の EGFP安定細胞株の作製はすでにできている。また、初代ヒト上皮細胞はまだ不安定ながらも採取できている。今後まずこれらを用いて、血管を結合組織内に持つ歯肉3次元培養組織を作成することを試み、緑色蛍光白血球の動態を探る実験系を構築することを行うこととする。また、ヒト歯肉上皮株化細胞の短鎖脂肪酸誘導細胞死メカニズムの解明についても併せて行い、歯肉オルガノイドにおける短鎖脂肪酸の役割を調べる最終目的に役立てることを狙う。
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Causes of Carryover |
大学校舎の新築に伴う引っ越し作業や実験スタッフの新型コロナウイルス感染等のため、予定していた研究計画が遅延しており、それに伴い計画の後半に使用予定であった物品を購入しなかったために残金が生じた。また、コロナウイルス禍により予定していた歯科基礎医学会への発表がオンラインとなり、旅費が不要となったため残金が生じた。繰越金と令和4年度助成金を合わせて、ヒト歯肉オルガノイド作成実験および細胞死誘導メカニズムの解明を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)