2020 Fiscal Year Research-status Report
バクテリオファージを用いたARONJに対する新規治療法の創出
Project/Area Number |
20K09923
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
比地岡 浩志 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (70305150)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩野 英知 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (60382488)
松尾 美樹 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (20527048)
瀬名 浩太郎 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (60701117)
後藤 雄一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00637902)
久米 健一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (60650067)
杉浦 剛 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (40322292)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ARONJ / 口腔マイクロバイオーム解析 / ファージセラピー / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
ARONJは難治性かつ進行性の慢性炎症性疾患で未だに病態は不明なことが多く、治療法も確立していない。細菌感染がその発症、進展に重要な役割を果たしていることは明らかであるが、その原因となる菌種等は同定されていない。最新のポジションペーパーにおいて長期抗菌薬投与が推奨されているにもかかわらず、具体的な抗菌薬の指定や投与期間の目安はない。不適切な抗菌薬の使用は治療に無効であるうえ、種々の副作用を引き起こし、さらには薬剤耐性化など社会的な悪影響も懸念される。本研究は、ARONJに対して口腔マイクロバイオーム解析により病因病態を解明し、その結果に基づきバクテリオファージを用いた治療につなげる、といったトランスレーショナルな研究である。 今年度はARONJの病因解明つまり原因菌同定のため、対象としてARONJ患者17名(A群)およびコントロールとしてBMA服用患者(ARONJ未発症)11名(B群)より唾液(A-sal群、B-sal群)と腐骨(A-seq群)を採取し、次世代シーケンサーを用いた16S rRNA解析を行なった。結果は以下の通りである。 ①A-sal群とB-sal群の細菌叢構成は近似していたが、A-seq群の細菌叢は異なっていた。②3群ともBacteroidetes網が最も多く、Fusobacteriia網がその次に多かった。③A-seq群、A-sal群、B-sal群の順に多様性が低い傾向であった。④B-sal群と比較しA-sal群でActinobaculum属の相対存在量が有意に高かった。 以上の結果から、Actinobaculum属はARONJの有力な原因菌の一つである可能性が示唆された。過去にActinobaculum属の近属であるActinomyces属の関与が報告されているが Actinobaculum属の報告はなく、ARONJの発症予防の新規標的となる可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までにARONJの病因解明を行う予定であったが、ほぼ予定通りに進行している。また治療ターゲット候補の一つである口腔レンサ球菌のバクテリオファージの単離に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、原因菌同定をより精度の高いものとするため、対象およびコントロールのn数を増やし解析を行なっている。それと並行して有力な候補細菌である口腔内嫌気性菌ファージの単離を行なっているところである。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により予定していた資料収集等の研究活動が進んでおらず次年度に繰り越しとした。 次年度は引き続き次世代シーケンサーを用いた口腔マイクロバイオーム解析を進め、さらにARONJの原因細菌の同定およびファージハンティングを進める予定である。
|
Research Products
(1 results)