2020 Fiscal Year Annual Research Report
活性型ビタミンD3による歯根膜細胞のTNF誘導アポトーシス抑制効果に対する解析
Project/Area Number |
20K09951
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金谷 聡介 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80375097)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 活性型ビタミンD3 / 歯根膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病巣や根尖病巣局所において、腫瘍壊死因子(TNF-alpha)は炎症を惹起するだけでなくアポトーシスを誘導する代表的な因子でもある。近年、歯周病および根尖病変とアポトーシスの関連について報告されている。歯根膜は歯根膜線維芽細胞、骨芽細胞、セメント芽細胞の供給源となり、歯周組織の維持や再生に重要である。活性型ビタミンD3は腸管からのカルシウムの吸収を促進し、骨の成長や維持に必要であるが、歯周組織の健康の維持にも影響を与えている可能性があることが報告されている。 100ng/ml濃度のTNF-alpha存在下でヒト歯根膜細胞を1~100nM濃度の活性化ビタミンD3で刺激したところ、10nM濃度で12時間後および24時間後の生存率が有意に上昇した。200ng/ml濃度のTNF-alpha存在下でも同様の結果がみられた。次に、TNF-alphaがヒト歯根膜細胞のアポトーシス誘導に及ぼす影響について解析を行った。1~500ng/ml濃度のTNF-alpha存在下でヒト歯根膜細胞を培養したところ、1ng/mlおよび10ng/ml濃度のTNF-alphaでは48時間培養後にアポトーシスは誘導されなかったが、100ng/ml、200ng/mlおよび500ng/ml濃度のTNF-alpha存在下では48時間後にアポトーシスが誘導された。しかしながら、活性化ビタミンD3でアポトーシスの抑制がみられなかった。また、TNF100ng/mlでも同様であった。一方、10nMおよび100nM濃度の活性化ビタミンD3刺激では72時間でOD値の低下がみられた。高濃度では細胞障害性があることも考えられるが、活性化ビタミンD3による3日刺激はアルカリフォスファターゼやオステオカルシン遺伝子の発現を顕著に増強することから、分化誘導されることにより増殖能が低下することが影響している可能性もあると考えられる。
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