2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔バイオフィルム細菌叢の機能に着目した根面う蝕の早期検出および制御法の開発
Project/Area Number |
20K09953
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 陽子 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50456943)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 根面う蝕 / バイオフィルム / 細菌叢 / 機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の保有歯数が増加し、加齢や歯周病による歯肉退縮に伴う根面う蝕の急増が歯科において深刻な問題となっており、効果的な予防・制御法が切望されている。本研究の目的は、初期根面う蝕に着目し、う蝕病変部の細菌叢を遺伝子解析することで、根面う蝕の発症に関連する細菌叢および病原性を明らかにし、根面う蝕の発症初期における新規検出法を検討することである。そして、得られる結果をもとに、初期根面う蝕病変を模するin situバイオフィルムモデルを用いて、初期根面う蝕に対する効果的な化学的制御法の確立を目指すものである。 本年度は、根面う蝕罹患部および歯肉縁上バイオフィルムからサンプルを採取し、遺伝子抽出を行う際の条件設定を行った。特に、採取したサンプルの保存法の検討に時間を要し、解析を行うことができたサンプル数は少なかったが、う窩深部ではう窩浅層と比較してActinomyces属の相対的割合が高く、またPrevotella属およびSelenomonas属の割合が低い傾向が認められた。方法が決定したため、今後サンプル採取を進め、解析サンプル数を増すことで、初期根面う蝕細菌叢の特徴を明らかにしたい。 一方で、初期根面う蝕を模し表面を脱灰した象牙質片を用いたin situバイオフィルムモデルにて作成したバイオフィルムは、脱灰していないアパタイトディスク上に形成されるバイオフィルムと細菌叢が異なることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプルを採取してから遺伝子抽出を行うまでの条件検討に時間を要したため、また新型コロナウイルス感染症による診療体制の縮小によりサンプルを採取できない期間があり、本年度解析を完了した臨床サンプル数は少ないが、本年度と次年度でサンプルの採取を予定していたこと、また方法が決定したため、おおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
根面う蝕罹患部および歯肉縁上バイオフィルムサンプルの採取を進め、n数を増すことで初期根面う蝕細菌叢の特徴を明らかにすることを目指す。また、順次解析を行っていくことで、in situバイオフィルムモデルを用いた抑制法の検討を並行して行う。
|
Causes of Carryover |
根面う蝕サンプルの採取が少なかったことおよび、シーケンス解析を行うまで保管しているサンプルがあることから生じたものであり、次年度も引き続きサンプルを採取し、予定サンプル数を挽回する予定であり、本研究を遂行する際に使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)