2022 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌の感染とタンパク質シトルリン化を介する関節リウマチの病態解明
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20K09954
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
畑中 加珠 岡山大学, 大学病院, 医員 (50362992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 一弘 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (20549860)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (50226768)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯周病原細菌 / シトルリン化蛋白 / 関節リウマチ / 血清抗体価 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の研究により、歯周炎が関節リウマチ(RA)と関連すること、歯周病原細菌であるAggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)やPorphyromonas gingivalis(Pg)がシトルリン化蛋白を介してRAの病因に関与することが明らかになってきた。また、喫煙もRAの病態に関与していることが報告されているが、その程度はまだ十分に解明されていない。また、リウマチ性多発筋痛症(PMR)は時にRAと鑑別が困難な疾患であるが、PMRと喫煙や歯周病原細菌による因子との関連は不明である。本研究の目的は、RAまたはPMR患者における歯周病原細菌感染と喫煙の関係を明らかにすることである。 本症例対照研究は、未治療のRAまたはPMRの患者142名を対象とした。歯周病原細菌抗原に対する血清IgG抗体価および抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)を評価した。また、RA患者においては、抗体価とRAの疾患活動性、治療3ヶ月後の治療反応性との関係を調べた。さらに、喫煙の影響も評価した。 歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価は、ACPA陽性RA群とACPA陰性PMR群との間に有意差はなかったが、Pgに対する抗体価の上昇とACPA値、特に陰性群と高値陽性群との間に有意な関連が見られた。AaおよびPgに対する抗体価は、ベースライン時の疾患活動性スコア28(DAS28)に差はなかったが、抗体価が高い患者は、3ヶ月後のDAS28で判断するとRAの治療効果が低かった。また、喫煙とこれらのパラメータとの関連は見い出せなかった。 以上より、歯周病原細菌、特にPgの感染はACPA値の上昇と関連していること、また、PgおよびAaの感染はRAの治療効果を阻害する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)