2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者糖尿病関連歯周炎患者のオーラルフレイルリスクバイオマーカーの探索
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20K09957
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
板東 美香 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10510000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 淳一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10195315)
稲垣 裕司 徳島大学, 病院, 講師 (50380019)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病関連歯周炎 / オーラルフレイル / バイオマーカー / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者糖尿病関連歯周炎患者に対するオーラルフレイルの新規リスクバイオマーカーを探索すること、さらに、糖尿病合併症の原因の1つである最終糖化産物(AGEs)による歯周組織局所における炎症増悪化の機序を詳細に調べるとともに、その抑制方法をin vitroで探索することを目的とし、糖尿病関連歯周炎患者に対するフレイル予防につながる臨床研究と基礎的研究を行う。 本年度は、65歳以上の糖尿病関連歯周炎患者7例の研究同意書を取得し、従来のオーラルフレイルの診査や検体採取を行った。そのうちオーラルフレイルと診断された患者は5例であった。唾液やGCF中の成分解析はELISAプレートによる誤差が出る恐れがあるため、検体が一定数集まり次第一度に行うので、まだ解析は行っていない。次年度は非糖尿病患者も含めて引き続き、症例数を増やしていく予定である。基礎研究については、抗酸化物質として注目されている藍(タデアイ)に含まれるTryptanthrinに着目してin vitro実験を行った。Tryptanthrinは抗酸化作用を有し、さらに炎症性サイトカインやS100A9の発現を抑制することが報告されている。そこでRaw264.7細胞を用いて、Tryptanthrinが破骨細胞の分化を抑制するか検討した。先ず市販のキットを用いてTryptanthrinの細胞毒性を調べたところ、7.5μM以上の濃度でRAW264.7細胞の細胞生存率が有意に低下した。次にRANKL誘導性の破骨細胞分化に対するTryptanthrinの抑制効果をTRAP染色により調べた。その結果、2.5μM以上の濃度で破骨細胞の分化を抑制した。次年度は破骨細胞分化マーカーの発現を調べて分化抑制のメカニズムを明らかにするとともに、LPS誘導性の破骨細胞分化の実験系でもTryptanthrinの効果を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理審査委員会への申請とオーラルフレイル診査機器の内、販売停止となっているものもあり、代替の測定法や他分野からの貸与などの診査体制の調整に時間がかかった。そのため、実際の患者への診査や検体採取開始が遅れたこと、さらにCOVID19の影響により歯科受診が減少したこともあり、臨床研究は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究に関しては、COVID19の終息状況次第である。今までは研究協力者の一部に対して研究に同意していただける患者を募っていたが、診査手順や時間などがある程度確立してきたので、研究協力者の全員に対して、該当する患者を募り進めていく。また、倫理審査委員会への承認を得たうえで、他施設での患者検討する。基礎研究の方も並行して行っていく。
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Causes of Carryover |
当初購入予定だったオーラルフレイル測定機器の細菌カウンタ(200,000円)と咬合測定器(20,000円)が販売停止中で購入できなかったこと、見込んでいた症例数よりも少なかったため、それにかかる外部受託検査費用も予定より少なく、次年度使用額が生じた。 次年度も機器の購入予定はないが、症例数を増やして、翌年度分として請求した研究費と合わせて、外部受託検査費用やその他の測定機器の消耗品、さらに基礎研究に必要な試薬・消耗品等に使用する予定である。
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