2020 Fiscal Year Research-status Report
Bioactive Glass配合覆髄材および局所的歯髄再生医用材料の同時開発
Project/Area Number |
20K09961
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
鷲尾 絢子 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (10582786)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Bioactive glass / Gelatin / FGF-2 / 象牙質・歯髄複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,Bioactive glass(BG)を基盤とする材料開発をさらに発展させ,研究計画①;象牙質・歯髄複合体の最適な創傷治癒を誘導するBG配合覆髄材の短中期的開発と,覆髄による歯髄創傷治癒の誘導が困難な露髄に対し,研究計画②;局所的な象牙質・歯髄複合体の再生を促すBG配合スキャフォールドの中長期的開発を同時進行し,組織に対する高い親和性と生体材料間の結合性を有する覆髄材および象牙質・歯髄複合体再生用スキャフォールドを統合的に開発することである.当該年度の研究実績は下記の通りである. 研究計画①;CS-BGの重量比1に対して任意の重量のBG配合粉末を練和した複数の試作BG配合セメントを作製し,各試作覆髄材の硬化時間,エックス線造影性,表面性状,経時的なpH変化を評価した.BG配合粉末の割合が高いほど,硬化時間は短く,エックス線造影性は低く,その一方でpHは同程度で安定した.擬似体液に浸漬したセメント表面にはハイドロキシアパタイト様の構造物が認められた.また,培養細胞株の細胞増殖に対するセメントの影響を検討したところ,細胞毒性は認められなかった. 研究計画②;BGおよび線維芽細胞増殖因子(FGF-2)が象牙芽細胞様細胞において及ぼす影響を分子生物学的に明らかとするため,Gelatinコーティングしたdish上での2次元培養とBG/FGF2-Gel複合スポンジでの3次元培養を各々行い,細胞増殖・分化に及ぼす影響を評価した.2次元培養により,任意の濃度の BG溶出溶媒では細胞毒性を示さないこと,FGF-2の刺激により細胞増殖することが明らかとなった.また,ALP染色では分化に及ぼす影響は認められなかった.3次元培養では,スポンジに細胞は接着・生存し,経時的に細胞増殖する傾向が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画①,および研究計画②の各実験は研究計画調書の3年度スケージュールの概要の通り,進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画①;in vitro研究で,培養細胞株と試作BG配合セメントをトランズウェルで共培養し, ALP活性測定とAlizarin red染色による石灰化能分析,Western blottingとRT-PCRによる細胞マーカーの発現分析を行う.今後は,本年度の象牙芽細胞様細胞株での評価結果が良好である点から,歯周組織に関連する細胞(セメント芽細胞,歯根膜細胞など)との比較や既存材料と比較することにより,さらなる歯科材料開発へと発展につなげたいと考える.in vivo研究も併行して進める. 研究計画②;2次元培養と3次元培養による細胞増殖・分化への影響をSEM分析,免疫組織学的手法,Western blotting等で細胞マーカー発現を分析し,メカニズム解析を行う.in vivo研究も併行して進める.
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Causes of Carryover |
コロナの感染拡大による影響で,学会発表関連での使用が少なかった.2021年度における学会発表時の使用を目的として計画している.
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