2021 Fiscal Year Research-status Report
Trace-elementsナノコンポジットを応用した新規多機能材料の開発
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20K09962
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
松田 康裕 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (50431317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 克史 朝日大学, 歯学部, 准教授 (00322818)
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
邱 友靖 北海道医療大学, 歯学部, 研究員 (90845421) [Withdrawn]
油井 知雄 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (80548438)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナノコンポジット / 微量元素 / 再石灰化 / 象牙質 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ化物含有亜鉛-銅ナノコンポジット(ZCF)の歯科材料への応用を考え、ZCFを添加したボンディング材の微小引っ張り強さ、抗菌性、抗MMP抑制効果について検討を行った。その結果2.5%のフッ化物含有亜鉛-銅ナノコンポジットを添加したボンディング材表面でS.mutansに対して抗菌効果が示された。また5%フッ化物含有亜鉛-銅ナノコンポジットを添加したボンディング材ではMMP抑制効果が示された。象牙質に対する微小引っ張り強さへの影響は認められず、象牙質接着性に影響を与えずに抗菌性、MMP抑制効果を示す事が明らかとなった。ZCFの添加が接着性の修復において、象牙質の劣化と細菌の付着抑制よる2次う蝕予防効果が期待出来ることが明らかとなった。また、接着界面の破断様式ではフッ化物含有亜鉛-銅ナノコンポジット添加群が表層にボンディング材が残る破壊様式が多く認められ、破断したとしても象牙質表面を材料が保護することが明らかとなった。 フッ化物含有亜鉛-銅ナノコンポジットのX線光電子分光法による分析では表層は亜鉛が主であり、深層では銅が主に認められ、表層の亜鉛は酸化物と塩化物が混在していた。このことからZCFの生体活性は亜鉛による作用が大きいとで考えられた。そこで、象牙質の耐酸性に及ぼすイオン的影響,特にFとZnの化学結合の影響についても検討した。その結果,Znは象牙質の結晶構造を変化させることなく,限られた表層に分布していることがわかった。Zn添加象牙質におけるZn-Oの結合長および化学状態から、Zn-Oの共有結合が新たに生成し、象牙質の耐酸性を向上させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粒子誘導X線/ガンマ線放射法,X線回折法,X線光電子分光法およびX線吸収分光法を用いて亜鉛に特化した分析を進め、象牙質の劣化や再石灰における亜鉛の役割の基礎的な知見を得ることが出来た。 また、歯科材料のフッ素含有亜鉛ー銅ナノコンポジット(ZCF)への応用では、ZCFによる抗菌性、抗MMP作用により抗う蝕機能を持たせた新規材料の開発も進んでおり、予定よりも順調にすすんでいる領域も認められる。
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Strategy for Future Research Activity |
他の元素も含めたナノコンポジットは亜鉛の利点を活用できる組成の検討をすすめる。また、得られたナノコンポジットは粒子誘導X線/ガンマ線放射法,X線回折法,X線光電子分光法など用いて分析を進めて行く。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大にともない、出席予定であった学会が中止またはWeB開催となり旅費の支出が少なくなったため次年度への繰り越し金が生じた。今年度は学会発表のみならす、論文による研究成果発表を積極的に行う予定である。
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Research Products
(12 results)