2023 Fiscal Year Annual Research Report
Trace-elementsナノコンポジットを応用した新規多機能材料の開発
Project/Area Number |
20K09962
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
松田 康裕 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (50431317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 克史 朝日大学, 歯学部, 准教授 (00322818)
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
邱 友靖 北海道医療大学, 歯学部, 研究員 (90845421) [Withdrawn]
油井 知雄 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (80548438)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 微量元素ナノコンポジット / 微小剪断応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで亜鉛、銅、フッ化物を含有するナノコンポジットを開発しその生化学的性質を分析し報告してきた。2023年度は象牙質の再石灰化における亜鉛(Zn)と銅(Cu)の影響の検討を行った。象牙質は、無機質であるハイドロキシアパタイト(HAP)と有機質であるコラーゲンからなる複合体であり、象牙質の再石灰化には、結晶を核とした古典的経路とコラーゲン線維を核とした非古典的経路(NCC)があります。象牙質の根面う蝕では、口腔内細菌が生じる酸やタンパク分解酵素により、HAPの脱灰とコラーゲンの分解が進行します。唾液の緩衝作用により象牙質の再石灰化が促進され、Ca、P、Fなどの微量元素が取り込まれます。Znには再石灰化を促進し、抗菌性があります。CuやAgも抗菌性から歯科材料に含まれています。 本研究では、ウシの下顎乳前歯を試料とした、脱灰液に浸漬した後2%硫酸亜鉛溶液(ZnSO4群)および2%硫酸銅溶液(CuSO4群)に浸漬した。再石灰化をシミュレーションした自動pHサイクル装置を用いて象牙質試料の再石灰化の検討を行った。自動pHサイクル装置は1日6回のサイクルを2週間行い再石灰化し、その後、In-air Micro PIXE/PIGE法による象牙質内の元素分析を行った。コントロール群ではZn、Cu、Fなどの微量元素は検出されませんでしたが、ZnSO4群では表層から深さ30マイクロメートル付近にZnのピークが、CuSO4群では表層から50マイクロメートルにCuのピークが認められたが、pHサイクル後にはすべての材料群で元素のピークは認められませんでした。 結果として、ZnとCuは象牙質への取り込みにより再石灰化を促進する可能性が示唆されました。象牙質う蝕の予防には、脱灰抑制とコラーゲン線維の保護が重要であり、微量元素の効果を最大限に引き出すためのさらなる検討が必要である。
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Research Products
(3 results)