2020 Fiscal Year Research-status Report
歯性菌血症の克服を目指したデンタルバイオフィルムの能動的脱離メカニズムの解明
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20K09974
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 幹代 大阪大学, 歯学研究科, 特任研究員 (30523089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵比須 繁之 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教授 (50116000)
岡本 菜々子 (栗木菜々子) 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60781432)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デンタルバイオフィルム / 歯性菌血症 / バイオフィルムの能動的脱離 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔細菌が全身に影響を及ぼす経路の一つである歯性菌血症において、血中に侵入する細菌の多くはデンタルバイオフィルムから脱離した口腔細菌である。 本研究では、歯性菌血症の要因となるデンタルバイオフィルムからの口腔細菌の能動的脱離メカニズムを明らかにすることを目的に、ex vivo バイオフィルムモデルの確立を試みた。大阪大学歯学部附属病院を受診し、歯周病治療あるいは根管治療が必要とされ、6 mm以上の歯周ポケットあるいは直径5 mm以上の根尖病巣を有する歯が存在すると診断された外来患者のうち、同意の得られた5名の患者から臨床試料を採取した。歯周ポケット試料については、歯周ポケット深さが6 mm以上存在する部位を選択し、歯肉縁上プラークを除去した後、滅菌したグレーシーキュレットにて歯肉縁下バイオフィルムを採取した。根管内試料については、ラバーダム防湿後、Kファイルによるファイリング操作にて根管内バイオフィルムを採取した。 採取したバイオフィルムはそれぞれTryptic Soy Brothに懸濁し、I型コラーゲンがコーティングされ、唾液処理を施したチャンバースライド上に播種後、嫌気的条件下で24時間培養し、バイオフィルムの形成を確認した。バイオフィルム形成細菌の細菌構成をメタゲノム解析により検索するため、バイオフィルム形成細菌を回収し、PowerSoil DNA Isolation Kitを用いて細菌DNAを抽出後、分光光度計にて濃度および純度の測定を行い、-20℃で凍結保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の影響でやや臨床試料の採取が遅れているが、ex vivo バイオフィルムモデルの確立は順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床試料の採取を継続して行うと同時に、確立したex vivo バイオフィルムモデルを用いて、能動的脱離を誘導する環境変化および制御因子の検索を行うとともに、メタゲノム解析により、能動的脱離が誘導されやすいバイオフィルムの細菌構成および脱離しやすい細菌の検索を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症により参加予定であった学会がオンライン開催になり、旅費が不要であったためと、本年度予定していたシーケンス解析を次年度以降に実施することにしたため、次年度使用額が生じた。本年度実施できなかったシーケンス解析を次年度以降に実施する予定である。
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