2022 Fiscal Year Annual Research Report
BDNFによる歯髄細胞とマクロファージの細胞連携を基盤とした歯髄保存療法の開発
Project/Area Number |
20K09976
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武田 克浩 広島大学, 病院(歯), 講師 (10452591)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳由来神経栄養因子 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)BDNFのマクロファージにおける炎症制御能の検討し、脳由来神経栄養因子(BDNF)は、PMA処理したTHP-1のTNFalphaとIL-1betaの遺伝子発現に影響を及ぼさなかった。また、ペプチドグリカン(PGN)刺激で促進されるTHP-1のTNFalpha、IL-1betaおよびIL-6の遺伝子発現を抑制した。 (2)BDNFのマクロファージ貪食能に及ぼす影響を検討し、BDNFで刺激するとRAW264.7の貪食能が亢進し、BDNF受容体であるTrkBの阻害剤(K252a)の添加で抑制された。 (3) リポ多糖(LPS)刺激されたマクロファージ様細胞が歯髄細胞に及ぼす影響を検討し、PMA処理したTHP-1と共培養したhDPCsは、hDPC同士の共培養と比較して、LPSによって促進されるIL-6とIL-8の遺伝子発現が有意に高かった。 (4)ビーグル犬直接覆髄モデルを用いたBDNF組織再生能を検討し、BDNF/高分子ヒアルロン酸(HMW-HA)群はSham群、HMW-HA群と比較して炎症性細胞浸潤が軽度であった。BDNF/HMW-HA群において露髄部が内在性細胞の集積と硬組織様組織で閉鎖されていた。 Sham群、HMW-HA群では露髄部の閉鎖は認められなかった。 以上の結果から、BDNFはマクロファージの貪食能を亢進させることで創傷治癒の初期に起炎物質の排除を促進し、さらに過度の炎症性サイトカイン発現を抑制することで歯髄炎を鎮静化し、修復象牙質形成促進に寄与する可能性が伺えた。また、その炎症制御・修復象牙質形成には歯髄細胞-マクロファージの細胞連携が関与していることも示唆された。
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Research Products
(1 results)