2021 Fiscal Year Research-status Report
歯肉接合上皮の維持・防御機構における低分子量Gタンパク質Cdc42の機能の解析
Project/Area Number |
20K09978
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
相澤 怜 昭和大学, 歯学部, 助教 (80710673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 講師 (40710166)
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Cdc42 / 不死化接合上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は口腔内の歯周病原細菌に対する宿主の反応により歯周組織の破壊を伴う感染症である。歯肉接合上皮は細菌の侵入に対して最前線に位置し、物理的な防御の役割を果たしている。申請者らは、Rhoファミリータンパク質Cdc42が個体レベルでの骨・軟骨形成における重要な役割を果たしていることを明らかにした。一方、Cdc42が接合上皮の維持、防御機能において果たしている機能は明らかになっていない。本研究では、マウス由来の不死化接合上皮細胞を用いて、Cdc42が接合上皮における創傷治癒、歯周病制御に果たす役割を検討する。 Porphyromonas gingivalis由来LPS存在・非存在下にて培養した不死化接合上皮細胞を用いて、スクラッチアッセイによる細胞増殖能の評価を行った。炎症および細胞接着関連遺伝子の発現について、real-time PCR法を用いて解析した。また、FITC標識デキストランを用いて細胞間透過性の評価を行い、LPSが不死化接合上皮細胞の細胞間隙のバリア機能に与える影響について検討した。 不死化接合上皮細胞の遊走、増殖はLPS刺激により減少した。LPS存在下で培養した不死化接合上皮細胞において、Tnf、Slpi、Cxcl2の発現の増加が認められた。また、低濃度のLPSで刺激した不死化接合上皮細胞において、Cdh1、Itgb4の発現の減少が認められ、細胞間透過性の亢進が認められた。 接合上皮の上皮バリア機能には細胞間接着が重要な役割を果たしており、細胞間透過性が亢進することで、歯周病原細菌に対するバリア機能が低下すると考えられる。一方で、細胞間透過性の亢進により、補体や抗菌ペプチドであるdefensinなどの歯肉溝滲出液への誘導が増加することも考えられ、これらの不死化接合上皮細胞の性質は歯周炎病態における炎症の遷延化に関与する可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的な新型コロナウイルス感染症流行の影響により、実験に使用する器具、消耗品等の入手に想定以上の時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
不死化接合上皮細胞を用いて、in vitroでの細胞増殖、細胞死、細胞機能に対するCdc42の機能が阻害された際の影響の検討を行うことで、さらなる研究の推進を図る。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究に遅れが生じたことにより、遺伝子発現解析等に使用する試薬の購入がなく生じたものである。 当該金額は、2022年度請求額と合わせて次年度に計画しているマイクロアレイ解析代等にあてる予定である。
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