2021 Fiscal Year Research-status Report
歯髄炎進展と象牙芽細胞分化誘導に関わるCXCR4の機能解析
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20K09979
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
神尾 直人 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (10508774)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯髄 / 炎症 / CXCR4 / MIF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歯髄炎症時もしくは象牙芽細胞へ分化する過程におけるC-X-C motif chemokine receptor (CXCR)4の機能について検索するものである。特に歯髄においては炎症とそれに対する防御としての石灰化との間には密接な関係があり、その機能の解析の一助として、まず炎症性サイトカインや、炎症性メディエーターによる刺激時のCXCR4の発現について歯髄培養細胞を用いて検索した。その結果、リアルタイムPCR・細胞蛍光免疫染色にて、IL-1bやブラジキニンが、刺激後数日でmRNAおよびタンパク質発現を上昇させることを見出し、続けてウェスタンブロット法にて検索中であるが、一定の成果は得られるものの成果物として報告するレベルには至れないため、実験を継続する。また、ウエスタンブロット法では石灰化誘導培地やPGE2の影響もしくはCXCL-12発現についても検索しているが、分化時における発現状況に今のところ差がみられていない。 新鮮抜去歯を炎症ステージで分けて免疫染色を行うと、CXCR4は炎症程度の強い部位では発現は多いようである。第三象牙質が形成された正常歯髄様組織では発現細胞が今のところ少ない。象牙芽細胞への分化に関わるとすると矛盾する結果が得られているが、検体を増やして検討すべきであるといえる。 CXCR4リガンドであるCXCL-12による影響も検索している。すなわち、CXCL-12刺激によりCXCL-12やMIFとの相互作用が存在するか否か、もしくはシグナル伝達過程の差異の検索である。他の細胞で報告されるような、細胞内カルシウムイオン濃度の変化が今のところ見られていないが、種々条件を変えて検索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炎症性刺激に対するCXCR4発現およびCXCR4シグナル伝達解析でのウェスタンブロットの結果が安定しない部分がある。細胞免疫染色では理想的な結果を得ているので、タンパク質発現としての結果を細胞免疫染色のみ、もしくはELISAに変更することを考慮する。 抜去歯の研究は計画通り進めているが、結果として理想的なデータが出ていない。 上記により、やや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症性サイトカインによる刺激でCXCR4遺伝子発現と免疫染色ではデータを得ているが、ウェスタンブロットのデータを得るのに苦慮していすため、タンパクデータを免疫染色のみもしくはELISAにて検討する。あまり深追いせずCXCR4シグナル伝達の検討にシフトする必要性も考慮する。特に変更実験としてPKCとの関わりはデータが得られると期待する。
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Causes of Carryover |
新型ウィルスの影響により、学会参加費・旅費として計上した予算が未使用になった。また代替として発注した物品の一部に、生産・物流の停滞から先方から受注キャンセルの連絡が年度末に入った。残額は学会開催の有無により多少流動的になるが物品費、旅費に充てる。物品としては変更実験系のPKC関連刺激薬、阻害剤を予定する。
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