2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on new periodontal status test using GCF contents.
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20K09981
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
沼部 幸博 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (90198557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 弘 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30184683)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 好中球 / 歯肉溝滲出液 (GCF) / 歯周病 / 炎症マーカー / NETs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、 歯周病患者の一般的検査値と歯肉溝滲出液(GCF)中の炎症マーカーの状態と、GCF中好中球(CPMNs) の機能および Neutrophil Extracellular Traps(NETs)の発現状態との関連を検索するものである。NETsは近年新たな好中球機能として着目され、炎症の制御との関連が知られている。よってGCF中の各炎症マーカーとNETsとの関連を見い出すことにより、歯周組織の初期の病態発現を補足する検査基準の発見が期待できる。 本学研究倫理審査委員会への臨床研究実施申請・承認後、 歯周組織が健康な被験者と歯周病患者(歯周治療を受けている患者)の協力を得る。 それぞれの被験者の1口腔2部位ずつを検索対象として、GCFおよびCPMNsを採取し、GCF成分、CPMNsの機能、CPMNsのNETsの発現状態を形態学的、生化学的、さらに免疫組織学的に検討する。解析機械としては、共晶点レーザー顕微鏡、フローサイトメーター等を活用する。 各データが出揃った後、GCF中の酵素、炎症性サイトカイン、遊離ヘモグロビンの状態およびCPMN貪食能、貪食度、活性酸素産生能、NETsの発現、 歯周組織の臨床パラメーター値等との関連を解析する。検査のコストが予想以上にかさむ場合は、炎症に強く関係するマーカーの検索を優先させる。 研究期間は3年だが、そのうち最初の約2年半は研究手法の確立を経た後に被験者からの試料採取と各種検索に使用する。その後最終年度後半で、得られた結果に基づき、新しい歯周組織の検査方法を提案する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の状況として、本学研究倫理委員会への臨床研究実施申請は済んでおり、各解析に必要な試薬、機材の手配、手技の確認、被験者のリクルートを開始している。 しかし、新型コロナウイルス感染拡大対策の影響を受け、本学附属病院が東京都による緊急事態宣言下での患者来院を抑制したため、研究対象となる患者の来院数も激減し、十分数の協力者の同意を得ることができない状態となっている。よって現在は、対照群として設定している本講座内の歯周組織が健康な構成員を被験者とした研究を先行して進めることとし、その同意・協力を得て研究をスタートしている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
前記のごとく、研究協力者の研究群(実験群)を附属病院に来院する歯周病患者としている以上、今般の本邦の新型コロナウイルス感染状況が本研究にも大きな影響を与えることになる。2021年度後半は一般への新型コロナワクチンの普及が見込めることから、附属病院患者の来院数も、コロナ禍以前の従来の形に戻ることを期待しているところである。 附属病院の機能が正常化し協力患者数の確保ができる状態になった後、歯周病患者(歯周治療を受けている患者)への研究協力を求め、研究群(実験群)としての試料採取と各種解析を開始する。この研究群と対照群である健常者の結果との比較が、本研究において大きなポイントであり、また本研究の要の部分でもある。 万が一今後、新型コロナウイルス感染拡大が終息せず、十分な被験者数の確保ができない事態となった場合でも、健常者での検索を着実に先行させて、研究期間内に一定の成果が得られるよう、研究を進めて行く方針である。
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Causes of Carryover |
附属病院での臨床研究であることから、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた1年であった。 附属病院の診療体制が大幅に縮小され、被験者の確保が困難となり、それに必要な使用機材、試薬などの発注量が大幅に減少した。また、研究情報を収集したり、研究発表したりするための学術大会が中止またはwebへ切り替えられ、さらに関連の研究打合せなどもことごとく現地での対面実施が困難になり、旅費も使用しなかったため使用額が少なくなった。 2021年度前半の状況も現在の所は良好ではないが、状況が改善した後に遅れを取り戻す努力をする予定である。
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