2020 Fiscal Year Research-status Report
生体安全性を有する抗菌性単分散シングル金属ナノ粒子の開発
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20K10004
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
橋本 正則 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (00337164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元根 正晴 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (40826616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 単分散 / シングルスケール / 抗菌性 / 生体安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
比表面積が大きい単分散シングル金属ナノ粒子を使用する事によりバクテリアに対する抗菌性の発現機序を調査している。今までのところ、粒径が10 nm以下の場合、ナノ粒子がバクテリア表面に凝集することが少ない状態(分散性が高い)で比較的均質に付着している。 100 nm以下がナノ材料であるとの定義があり、たしかに100 nm以下の粒径の粒子は特異的な性質を有する。一連の我々の研究から、さらに、10 nm以下の粒子(シングルナノ粒子)はバクテリアの菌体外層に付着しやすいことが明らかとなった。シングルナノ粒子は分散性も高くなることを形態的に透過型電子顕微鏡(TEM)で確認できた。この、付着の状態はTEMで観察している。この現象に関しては数種類のコアメタルの種類や表面被覆ポリマーの種類を変えて実験を行ったが、ほぼ同様な結果を得た。粒子がバクテリア外壁に付着することが抗菌性の発現に重要なファクターであると考えられる。シングルナノ粒子がバクテリアと付着することにより、菌体の外層の構造変化は確認できないが、外層に”孔”が形成されたり、外層が”波打つ”などの形態変化があることが報告されている。バクテリアの細胞壁の変形はバクテリア構造を破壊する。現在使用しているバクテリアはS mutansであるが、バクテリアの種類を変えることによりそのような障害性の形態反応を確認することができる可能性がある。 この結果から、コアメタルの性質や表面被覆材の反応性よりも、ナノ粒子の”大きさ”そのものが、より重要なファクターであることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症防止対策のための研究室の閉鎖などにより、研究時間が減少し、研究が計画通り進まなかった。 しかし、シングル金属ナノ粒子とバクテリアの付着反応については、種類を変えたナノ粒子においても再現性が認められた。シングルナノ粒子はバクテリアに対して障害性があるが、形態的には観察できない。このため、現在使用しているバクテリアであるS. mutansから菌種を変更する計画が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
シングル金属ナノ粒子の抗菌性発現機序を透過型電子顕微鏡観察(TEM)により形態的に評価する。また、蛍光色素を用いた各種アッセイにより、その反応性を精査する。 さらに細胞毒性の発現を各種アッセイにより評価する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症に対する感染予防のための研究室の閉鎖などにより、研究実施時間が短縮してしまった。このため実験の遂行が遅れ消耗品などの支出が減少した。次年度使用額については、時期はずれるが予定通りアッセイキットや試薬などの消耗品の購入を行う予定である。
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