2021 Fiscal Year Research-status Report
生体安全性を有する抗菌性単分散シングル金属ナノ粒子の開発
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20K10004
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
橋本 正則 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (00337164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元根 正晴 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (40826616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 単分散 / シングルスケール / 抗菌性 / 生体安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
各種金属ナノ粒子(Au, PtおよびAg)、特に分散性の高いシングルナノ粒子(粒径10 nm以下)をターゲットにしてマクロファージ様細胞(RAW264)を用いた細胞毒性試験(WST-8アッセイ)を繰り返し行った。分散性に関しての評価は透過型電子顕微鏡(TEM)観察により形態的に行った。これにより、粒子の種類やコーティング剤または粒径と細胞毒性の関係を調べた。その結果、被膜となるポリマーの種類よりも、粒径の大きさが細胞毒性に大きく影響することがわかった。 さらに、口腔細菌(S. mutans)に対する抗菌性を調べた。寒天培地やプレート上に生育するバクテリアに対して金属ナノ粒子を所定濃度で一定期間曝露して、細菌数およびバイオフィルムの形成量を定量評価した(クリスタルバイオレット染色によるBiofilm forming assay)。バイオフィルム形成はシングルナノ粒子の曝露において明らかな形成阻害が確認された。その総合的な結果として、抗菌性を発現しバイオフィルム形成を有効に抑制する金属ナノ粒子の構造(粒径および性状)および組成(表面被覆材)の探索を行った。その結果、やはり多くの種類の金属ナノ粒子の粒径がシングルサイズになると、わずかではあるが抗菌性を発現する傾向が認められた。また、細胞毒性の発現は、ナノ粒子の金属の種類により影響を受けることが再確認できた。シングル金属ナノ粒子の細菌に対する影響は、細菌外膜に付着する粒子により引き起こされると推測できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナノ粒子の種類を多くして繰り返し実験を行い、粒子の相違による結果を調査した。そこに時間をかけたため、それ以降に行う予定であった、蛍光色素を用いた分析や透過型電子顕微鏡観察などの形態観察を行うことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)を用いたLive & Dead染色による抗菌性の解析を行う。さらに粒子とバクテリアの相互的な接触状態を形態的に観察する。走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察(細菌周囲の粒子局在の観察)および透過型電子顕微鏡(TEM)による形態観察(細菌内外の粒子局在の観察)を予定通り行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
あまり研究費経費がかからない細胞毒性試験(WST-8アッセイ)などを中心に行ったため予定以下の使用になった。今後は、蛍光色素を用いた蛍光顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察さらにはRT-qPCRなどの試料作製のための試薬やアッセイキットの購入のため研究経費を使う予定である。
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