2020 Fiscal Year Research-status Report
低ホスファターゼ症の遺伝子治療へ向けた分子生物学的アプローチ
Project/Area Number |
20K10009
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齊藤 陽子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30404487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正宏 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (30287099)
稲田 絵美 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (30448568)
野口 洋文 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50378733)
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HPP / ALP / ゲノム編集 / 乳歯 |
Outline of Annual Research Achievements |
低ホスファターゼ症患者は、全身的な問題だけでなく、小児期より歯の早期脱落、嚥下障害、口腔機能発達不全など口腔内の問題も認め、乳歯の早期脱落を契機に低ホスファターゼ症(HPP)と診断されることが多く、歯科が重要な役割を果たし得る疾患である。本研究では、先天的にALP活性が低下したHPP患者由来乳歯歯髄細胞に対して、遺伝子工学的処置(ゲノム編集)を行い、ALP遺伝子を本来の遺伝子型へと修正することで、乳歯歯髄細胞におけるALPの役割を細胞レベルで明らかにすることを目的とした。 初年度である今年度は、HPP-HDDPC(低ホスファターゼ患者由来乳歯歯髄細胞)へのALP発現ベクター導入によるALP過剰発現細胞株の樹立を試みた。まず、HPP-HDDPCへのALP発現ベクターの遺伝子導入には、human non-tissue-specific ALP(TNSALP)cDNAとneomycin耐性遺伝子(neo)を搭載する発現ベクターpTNSALPを使用した。HPP-HDDPCにpTNSALPをNeon Transfection systemにて遺伝子導入し、neoを含む培地で細胞を選別することで生じたコロニーを拾い、増殖させた。その後、ALP活性検出キットを用いてALPタンパク質発現の有無を調べ、ALP活性が得られたことを確認した株を“ALP-HPP-HDDPC”とした。続いてALP-HPP-HDDPCについて、in vitroでの増殖速度、細胞間接触、細胞形態、多分化能といった細胞挙動について調べ、親株のHPP-HDDPCと比較検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の流行により、低ホスファターゼ症患者の外来受診にも制限が生じたため、資料提供を受ける機会が予定よりも減少してしまった。しかし、完全な機会喪失には至らなかったこと、予定外の研究時間の捻出ができたことから、研究の進展に関してはプラスとなる効果もあり、総合的に判断するとおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度終了時点で所属機関が変更となったため、研究環境の再構築を図らなければならない。とりわけ、初年度所属機関で使用していた大型研究機器の使用ができなくなったため、異動後の機関においては代替の方法を模索する必要がある。環境整備は予算やスペースの都合などの問題もあり、簡単に思い通りに実施できる訳では無い。したがって同等設備を有する機関に所属している共同研究者に協力を仰いだり、外部委託についても検討したい。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行により、参加を予定していた学会がオンライン開催または中止となったことから、旅費として計上していた予算は未使用となった。しかし、初年度終了時点で所属機関の変更が決定したため、研究機材の移設を行う等研究環境の再構築を図る必要が生じたことから、旅費として未使用となった予算を移設のために使用することとし、次年度早期に使用する計画となっている。
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