2023 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞由来ペプチドを利用した炎症抑制と組織再生の両立を実現する治療法の確立
Project/Area Number |
20K10014
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
帖佐 直幸 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (80326694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 佑 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (90453331) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / TGF-β / 炎症抑制 / 組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織破壊を伴う炎症の治癒には間葉系幹細胞(MSC)が関与する。これまでにMSCと線維芽細胞の接触が炎症抑制性サイトカインであるtransforming growth factor(TGF)-βの発現を促進することを明らかにした。一方、Connective tissue growth factor(CTGF)は様々な細胞において、細胞増殖や分化に関与している。CTGFの発現はTGF-βの作用により促進されることが報告されているが、CTGFの過剰ならびに過少発現は骨形成不全を引き起こす。本年度は、MSCの骨芽細胞分化においてCTGFの影響を調査した。その結果、MSCにおけるTGF-βとCTGFの共処理はp38MAPKのリン酸化を促進することが示された。CTGFはTGF-βのレセプターへの結合を増強することが報告されている。したがって、CTGF存在下ではTGF-βの作用が増強され、p38MAPKの活性化が促進することが示唆された。さらに、TGF-βとCTGFの共処理は骨芽細胞分化マーカー遺伝子のmRNA発現を上昇させた。さらに、TGF-βはMSCの骨芽細胞分化における細胞外マトリックスの石灰化を誘導した。加えて、この石灰化はCTGFとの共存下で有意に増強され、p38MAPK阻害剤ならびにMEK/ERK阻害剤によって完全に抑制された。TGF-βはERK1/2のリン酸化を促進するものの、CTGFの存在下でそのリン酸化は抑制されることから、CTGFはTGF-βによって活性化されるMEK/ERK経路依存的に骨芽細胞分化へ関与することが示唆された。以上の結果から、CTGFはp38MAPKやMEK/ERKを含むMAPキナーゼ経路の活性化を調節することで、MSCにおけるTGF-β誘導性骨芽細胞分化を促進することが示唆された。
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