2020 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質固定化により軟組織付着の獲得を目指したジルコニアインプラントの創製
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20K10021
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
早川 徹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (40172994)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トレシルクロリド / ジルコニア / Y-TZP / 細胞接着タンパク質 / フィブロネクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ジルコニアインプラントの軟組織付着向上を目指して,ジルコニア表面にトロシルクロリド法を用いて細胞接着タンパク質の固定化を試みた. イットリア3 mol%含有正方晶部分安定化ジルコニア製ディスク(Y-TZP)を耐水研磨紙およびダイヤモンドペーストにて鏡面研磨を行った後に,トレシルクロリド溶液(2,2,2-トリフルオロエタンスルフォニルクロリド)をY-TZP表面に塗布し,37℃で2日間反応させた.その後,フィブロネクチン水溶液にトレシル化Y-TZPを浸漬して,37℃で2日間反応させた.その結果,2日間の反応ではXPSおよびFT-IR分析ではフィブロネクチンの固定化が確認できなかった.そこでトレシル化Y-TZとフィブロネクチンの反応時間を7日間とした.その結果,X線光電子分光分析では固定化されたフィブロネクチンのアミド基の窒素由来のN1sピークが観測できた.またフーリエ変化赤外分光分析測定においても,フィブロネクチンのアミド基由来のピークが認められ,フィブロネクチンの固定化が確認できた. 走査型電子顕微鏡および原子間力顕微鏡にて表面状態の観察を行った.その結果,Y-TZPにおいては研磨痕および空孔が観察されたのに対し,フィブロネクチン固定化Y-TZPにおいては不定形の隆起や突起が試料表面全体に観察された.両者の表面粗さを比較すると, Y-TZPよりもフィブロネクチン固定化Y-TZP において有意に高い算術平均高さ(Sa)値を認めた.さらに フィブロネクチン固定化Y-TZP においては,Y-TZPに比較して有意に低い接触角が得られ,親水性表面を示すことが分かった.ジルコニア表面には水酸基が存在する,この水酸基を介してトレシル化およびフィブロネクチン固定化反応が進行したものと推察される. 以上,トレシルクロリド処理後に,フィブロネクチンとの反応時間を長くすることによって,フィブロネクチンをジルコニア表面に固定化することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により,実験の遂行が滞ってしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
CAD/CAM法にてシリンダー型Y-TZPインプラントを作製し,トレシルクロリド法を用いてフィブロネクチンをY-TZPインプラント表面に固定化する.浸漬条件などを変化させて固定化状態を確認する. ラット抜歯窩にフィブロネクチン固定化Y-TZPインプラントを埋入し,軟組織との付着に関するフィブロネクチン固定化の効果について検討する.
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Research Products
(1 results)