2021 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマイオン注入法による口腔内装置への機能性付与に関する研究
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20K10023
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
有田 憲司 大阪歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (20168016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 洋子 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (00325268)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プラズマイオン注入法 / PBII法 / PMMA / アルゴンガス / 銀 / フッ素 / 表面性状分析 / 抗菌性試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は永年、プラズマイオン注入法(Plasma based ion implantation/PBII法)を利用して齲蝕予防や撥水性・撥油性で知られているフッ素(F)イオンと、幅広い抗菌性が知られている銀(Ag)イオンを完成した歯科用装置に注入し、プラークの付着抑制、易離脱性、つまり防汚性を有する表面に改質する方法の開発を目指している。 本研究は、金属よりイオン注入が困難なアクリルレジン(PMMA)を被験試料とし、これまでのフッ化物ガス(CF4およびC3F8)はフロン類似物質であり環境問題が懸念されるため、より安全性の高いアルゴン(Ar)ガスを用いてPBII法により、Fイオン注入、Agイオン注入、およびF+Ag同時注入の試料を作成し、①試料表面の元素組成分析および化学結合状態の分析、②表面エネルギー分析、③表面性状観察、および④S. mutansに対する抗細菌性と⑤C. albicansに対する抗真菌性について検討を行った。 その結果、Arガスで表面粗さを増加させずに、FとAgのイオン注入がされていること、およびすべての群で蒸留水に対する接触角が対照群より優位に大きい値であることが示された。S. mutansに対する抗細菌性は、F+Ag同時注入群が最も高く、Agイオン群も有効性が認められたが、Fイオン群は認められなかった。C. albicansに対する抗真菌性は、すべての群で認めなかった。 本研究により、Arガスを用いたPBII法によりPMMA表面にFおよびAgイオンを単独あるいは同時に注入できることが証明できた。また、過去の研究でチタン(Ti)にPBII法でFイオン注入すると腐食が生じることを認めていたが、本研究によって純銀製メッシュによってAgイオンだけを注入でき、しかも抗菌性を付与できることが証明されたことは、Tiへの応用の可能性を暗示しており、今後の研究が期待される。
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