2022 Fiscal Year Research-status Report
インプラント周囲炎治療を可能とする光応答性ナノカーボンインプラントの開発
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20K10025
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 恵理 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10722019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (20210627)
高野 勇太 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (60580115)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 近赤外光 / カーボンナノホーン / 光温熱効果 / 光線力学療法 / インプラント周囲炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,カーボンナノ物質の光線力学作用を用いて,近赤外光を照射した際に抗菌作用を発揮させ,インプラント周囲炎に応用することである.本年度は,さらに高い殺菌効果を得るため,抗生剤であるミノサイクリン(MC)をカーボンナノホーン(CNHs)に修飾し,その効果を検証した.まず,近赤外光によってCNHsからMCを放出させるための条件を検討した.未処理CNHs(AsCNHs)と大気酸化CNHs(CNHox)を比較して,CNHoxはasCNHよりMCを多く担持することが明らかになった.一方で,CNHoxとMCを混和するとMCの効果が表れなかった.そこでCNHoxを生分解性ポリマーであるヒアルロン酸(HA)溶液に分散しMCを混和したMC/HA/CNHsを作製した.MC/HA/CNHsに近赤外光を照射することにより,MCと同等かそれ以上の静菌作用を示した.また,線維芽細胞を培養し,MC/HA/CNHsを添加した上で近赤外光を照射したところ,細胞増殖への影響は見られなかった.以上よりCNHsの光温熱効果を利用したMCの徐放が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに材料の合成とin vitroでの評価は行ったが,研究計画にあるin vivoにおける生体適合性の評価を行っていないため. 一方で,MC/HA/CNHsに近赤外光を照射することにより,MCと同等かそれ以上の静菌作用を示すことが明らかとなり,本成果は第52回日本口腔インプラント学会学術大会で発表し,さらに詳細に検討した結果について日本補綴歯科学会第132回学術大会で発表予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
合成した材料をラットの皮下組織もしくは口蓋部に埋入し,近赤外光を照射した後の組織観察を行う.また,実際にラット歯肉縁下に埋入した後の組織の変化を観察する.以上よりin vivoにおける安全性の評価を行った上で今後の臨床応用について検討する予定である.
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Causes of Carryover |
申請者が産休育休を経て復帰したが,子の看護が長期化したため.今年度はラットを用いた動物実験を行うため,ラット,飼育料,実験器具,受託標本作成に使用予定である.
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