2021 Fiscal Year Research-status Report
CAD/CAM冠の加工精度を向上させる切削加工条件の最適化
Project/Area Number |
20K10029
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
根本 怜奈 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (50706893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 浩佑 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00507767)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CAD/CAM / 加工精度 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,歯科補綴装置を作製する際に使用する切削加工装置の発展は目覚ましく,歯科用ジルコニアや二ケイ酸リチウムなどのセラミックスや,ハイブリッド型硬質レジン,PMMAなど種々の材料の切削が可能となっている。加工時には,歯科補綴装置のCADデータを基に,切削加工パスの設計が必要で,CAMソフトを用いて,各加工パラメータを設定する.加工パラメータには,研削材の回転速度である切削速度,ツール,ステージの移動速度である送り速度,隣接する切削間を分離するXY平面方向の距離であるステップオーバー,一刃での切削量である切込み深さ,切削方向などが挙げられる. これら加工パラメータは,研削材および被削材により適正値が設定されており,その加工条件を基に,補綴装置が加工される.しかしながら,研削材は工業用途に設定されているため,その被削材は,ジルコニアはあるものの,グラファイトや銅・銅合金,硬質複合樹脂となっており,上記の歯科用材料に対する詳細な推奨切削条件は明らかとなっていない.一般的には,切削エネルギーが一定になる条件にて切削することにより,再現性の高い加工が可能になることが報告されていることから材料毎の切削エネルギーの評価により,適切な加工パラメータの推定が可能と考えられる.本年度は、下顎小臼歯冠および下顎大臼歯冠を実験モデルとし,支台歯金型を作製する.それぞれCADデータを作成し適正化した加工パラメータを用いて,CAMデータを作成した.送り速度も1000mm/min以下で内面適合性が向上したことから,1000mm/minとし冠の切削加工を行った.加工後の加工精度の計測のため,3次元形状測定装置VR-3000(キーエンス)を用いて小臼歯冠を測定し,CADデータとの比較を行い,現在,加工精度を評価しているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
下顎小臼歯冠および下顎大臼歯冠を実験モデルとし,マージン形態はディープシャンファーとした.支台歯を想定したコバルトクム合金製の金型を製作した.通法に従い作業用模型を製作し技工用スキャナーを用いて支台歯モデルのCADデータを作成し,歯科用CADソフトウェアを用いて小臼歯冠のCADデータを作成した.セメントスペースは辺縁部を0μm,内面を20μmと設定した.作成したCADデータからCAMソフトウェアを用いて小臼歯、大臼歯のCADデータを作成した.被削材にはCAD/CAM冠用レジンブ ロックとして,エステライトブロック(株式会社トクヤマデンタル)を用いた.CAM装置には,歯科用ミリングマシン,エンドミルには,ダイヤモンドコーティングロングネックボールエンドミルを使用した.加工後の加工精度の計測のため,3次元形状測定装置VR-3000(キーエンス)を用いて小臼歯冠、大臼歯冠を測定し,CADデータとの比較を行い,加工精度を評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
加工後の加工精度の計測のため,3次元形状測定装置VR-3000(キーエンス)を用いて小臼歯冠を測定し,CADデータとの比較を行い,加工精度を評価を進める.また,歯科補綴臨床的見地より,内面の適合性を評価する為に,シリコーン印象材を用いた内面適合性試験を行う.また,加工表面の解析として,3次元レーザー顕微鏡LEXT4000(オリンパス)を用いて,表面構造と表面粗さの測定を行う.以上の結果を基に,優れた加工精度を有する補綴装置作製のための加工パラメータを明らかにする.また,加工精度を左右する加工パラメータの主因子を明らかにする.上顎前歯部を想定し,歯冠長の高さが平均8mm(正常モデル),12mm(軽度骨吸収モデル),16mm(高度骨吸収モデル)の 金属金型の作製を作製する.実験2にて適正化した加工パラメータを用いて切削加工を行う.その際に,通常用いられる研削材のシャフトの長さは12㎜である が,本研究では,16㎜,20mmのものの使用を試みる.実験2と同様に加工精度を評価したのちに,内面適合性試験を行い,臨床的評価を行う.以上の結果を基 に,適応症例の拡大を明らかにする.
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Causes of Carryover |
本年度は,新型コロナ感染症の拡大に伴い,当初予定していた加工精度評価が遅れたため,次年度使用額が生じた.本内容は次年度に行うこととする.
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