2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new method for simultaneous estimation of saliva secretion and masticatory efficiency using odor detection
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20K10037
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
後藤 崇晴 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (00581381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 哲雄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90193432)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 咀嚼能率 / 唾液分泌関連因子 / におい強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えた我が国においては、サルコペニア、フレイルなどの対策が喫緊の最重要課題であり、歯科においても口腔機能低下症の概念が提唱され、その機能低下の中で唾液分泌量や咀嚼能率の評価は重要な項目である。しかし、この2つの評価項目に関して新たな測定法の開発はほとんど出てきておらず、取り組まれていない。本研究は、我々の過去の研究結果に基づいた独創的な仮説「水溶性のにおい物質を口に含んだ後、そのにおいの消失過程を定量的に測ることで、唾液分泌量と咀嚼能率を同時に推定できる」ことを証明し、その理論に基づき簡便で衛生的にかつ患者に不快な思いをさせることない唾液分泌量と咀嚼能率との同時推定法を開発することを目的とする。 2022年度では、前年度に選定したエチルアルコール含有のグミゼリーを用いて、健常若年者を対象に、本法の有効性を検討した。被験者は、健常成人20名とした。におい物質はエチルアルコールとし、エチルアルコール含有のグミゼリーを試作し被験食品とした。グミゼリーを10秒間咀嚼、嚥下させた後の呼気中のアルコール濃度をアルコール検知器で測定した。得られた結果から直後のにおい強度に対する60秒ごとのにおい強度の減少率(以下ORRと略す)を算出した。外的基準として、従来のグルコラム、グルコセンサーを用いた咀嚼能率、および安静時・刺激時唾液分泌量、口腔湿潤度を唾液分泌関連因子として設定した。 被験食品咀嚼、嚥下後のにおい強度に関して、嚥下直後と60秒経過後の平均値は、それぞれ0.29、0.06であり、2分後にはほぼすべての被験者でアルコールが検出されなかった。嚥下直後のにおい強度と咀嚼能率、嚥下直後から1分間のORRと口腔湿潤度との間に、有意な正の相関関係が認められた。以上の結果より、におい物質咀嚼後のにおい強度の測定により咀嚼能率、口腔湿潤度を同時に推定できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、エチルアルコールをにおい物質として選定し、エチルアルコール含有のグミゼリーを被験食品として試作した。また、健常若年者を対象に本法の信頼性を確認した。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響もあったため、当初の目標である高齢者を対象とした段階まで進んでおらず、被験者の確保に時間を要しており、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、健常若年者での結果をもとに、高齢者においても、外的基準として、従来のグルコラム、グルコセンサーを用いた咀嚼能率、および安静時・刺激時唾液分泌量、口腔湿潤度を唾液分泌関連因子として設定し、本法の有効性と若年者との結果の比較を行う事を予定している。また、2022年度に被験者とした若年者および今年度に被験者とする高齢者を対象に、再テスト法を用いた信頼性の検討を予定しており、最終的な本法の信頼性、妥当性を検証することを予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、当初の目標である高齢者において、十分な被験者を確保できておらず、信頼性、妥当性の検討までに時間を要しているため、次年度使用が生じた。2023年度には、測定システムの構築に伴う消耗品を購入し、使用する予定である。
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