2022 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病における嚥下障害の発生機序解明と症状改善の試み
Project/Area Number |
20K10042
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 義英 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20287775)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 嚥下反射 / 上喉頭神経 / 外側網様核 / 巨大細胞網様核 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、嚥下反射が赤核や脚橋被蓋核の刺激により抑制されることを明らかにした。赤核は外側網様核と、脚橋被蓋核は巨大細胞網様核と神経連絡があることが解剖学的研究から報告されている。脊髄小脳失調症の主な症状に嚥下障害があり、赤核、外側網様核や巨大細胞網様核などに変性が見られることが明らかになっている。しかし外側網様核や巨大細胞網様核の嚥下における役割は明らかにされていない。そこで外側網様核や巨大細胞網様核の刺激に対する嚥下反射への影響を検索した。 嚥下反射は上喉頭神経連続電気刺激により誘発し、顎舌骨筋の筋電図活動から同定した。初めに上喉頭神経単独刺激を行い、次に上喉頭神経と外側網様核の同時電気刺激を行い、最後に再び上喉頭神経単独刺激を行った。また、外側網様核にグルタミン酸を微量注入し、注入前後の嚥下反射の変調を検索した。巨大細胞網様核の電気刺激実験とグルタミン酸注入実験は上記と同様に行った。 上喉頭神経と外側網様核の同時電気刺激により、嚥下回数は上喉頭神経単独刺激に比べ有意に減少し、嚥下誘発開始時間は長くなった。また、外側網様核へのグルタミン酸注入後、嚥下回数は注入前より減少し、注入30分後に注入前の状態に戻った。 上喉頭神経と巨大細胞網様核の同時電気刺激では、嚥下回数は上喉頭神経単独刺激に比べ有意に減少または増加した。嚥下回数が減少した場合は、嚥下誘発開始時間は長くなった。しかし、嚥下回数が増加した場合は、嚥下誘発開始時間に変化はなかった。外側網様核へのグルタミン酸注入後、嚥下回数は注入前より増加または減少した。嚥下回数が増加した場合は注入80分後に、嚥下回数が減少した場合は注入175分後に注入前の状態に戻った。嚥下回数が増加した部位と減少した部位は、巨大細胞網様核内で混在していた。 以上の結果から、外側網様核と巨大細胞網様核は嚥下の制御に関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)