2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K10058
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小見山 道 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (60339223)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 睡眠 / ブラキシズム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは,これまでブラキシズムのメカニズムの解明を最終目標として実験を進め,TMSなどを用いて下顎運動に関与する運動野における運動誘発電位を測定した結果,睡眠時ブラキシズムによって下顎運動に関与する運動野に神経可塑性変化が生じている可能性を明らかにしている。令和2年度はこれまでの研究の一環として,繰り返しの下顎前突運動のトレーニングの結果に生じる咬筋と舌筋の運動誘発電位を検討して報告した。 16名の被験者に対して,下顎突出運動のトレーニングを3日間行った。トレーニングは最大前方突出とその50%突出とした。初日と3日目のトレーニング後に経頭蓋磁気刺激装置を使用した運動誘発電位を咬筋,舌筋および第一背側骨間筋で計測した。咬筋と舌筋の運動誘発電位は刺激強度に応じて優位に増加した。トレーニング後の有意な増加は,咬筋と舌筋のみで認め,第一背側骨間筋では下顎突出トレーニングの効果は認めなかった。以上のことから,繰り返しの下顎突出運動は,咬筋における大脳皮質運動野の活動性上昇と伴う可塑性変化のみでなく,舌筋においても同様の効果を発生させることが示唆される結果を得ており,このことは各種機能回復へのトレーニングの可能性をあらためて示した。 令和3年度は,各種機器や実験条件の準備を進め,貼付型簡易式筋電計を1週間使用し日中および睡眠中の側頭筋筋活動を測定し,睡眠時間の単位時間(1時間当たり)の半分の時間以上に,20回以上のブラキシズムのイベント数を有する被験者を睡眠時ブラキサー群,十分なイベント数がない被験者をノンブラキサー群に分類できることを確認し,計測を継続した。また同時に購入済みの携帯型睡眠評価装置ウォッチパットで睡眠体位,睡眠深度,最低酸素飽和度,平均酸素飽和度などの,睡眠様相に関するデータを取得できることを確認し,計測を継続した。これらの結果は各種学会いて発表し議論を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は,睡眠状態と睡眠時ブラキシズムイベント数への断眠による影響の検討を行うために実験系の確立を試みた。被験者は患者群と年齢を調整するため25歳以上とし,顎口腔領域に異常を認めない成人被験者32名以上とすることと決定した。被験者は購入済みの貼付型簡易式筋電計を1週間使用し日中および睡眠中の側頭筋筋活動を測定し,睡眠時間の単位時間(1時間当たり)の半分の時間以上に,20回以上のブラキシズムのイベント数を有する被験者を睡眠時ブラキサー群,十分なイベント数がない被験者をノンブラキサー群に分類することとし,計測を継続した。同時に購入済みの携帯型睡眠評価装置ウォッチパットで睡眠体位,睡眠深度,最低酸素飽和度,平均酸素飽和度などの,睡眠様相に関するデータを取得する。各群の被験者数は16名を確保できるまで,測定を行うことで問題がないことを確認し,計測を継続した。また,医学部精神科の断眠プロトコルに従って,初日の通常睡眠時には貼付型簡易式筋電計と睡眠評価装置で,睡眠時ブラキシズムのイベント数と睡眠時間,睡眠深度などの睡眠様相を計測,評価することとした。実験開始1日目の15時にピッツバーグ睡眠質問票日本語版およびエップワース眠気尺度を用いて,睡眠状態の自覚的側面評価と検体検査資料を採取し,唾液検査で,コルチゾール(CORT),クロモグラニンA(CgA),血液検査にて,ホモバニリン酸(HVA)・脳由来神経栄養因子(BDNF)のベースラインデータを取得する可能性を検索した。その後1日の断眠を行い,翌日の15時に再度自覚的側面評価と検体検査を行い,回復睡眠時には再度睡眠時ブラキシズムのイベント数と睡眠時間,睡眠深度などの睡眠様相を計測,評価することでプロトコルを決定した。これらの実行のための実験系の準備を行い,各種学会にて発表し,議論を深めた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で,睡眠の障害が顎口腔系の体性感覚に及ぼす影響について一定の結論が得られている。睡眠の制限は口腔領域の体性感覚に影響へ及ぼし,フィラメントテストおよび痛覚閾値試験において,拇指球筋上の皮膚では測定時期間に有意差を認めなかったが,舌尖部の粘膜では有意差を認めたことから,手足等の皮膚と比較し,舌の粘膜は睡眠の制限による体性感覚変調の影響を受けやすいことが示唆された.また,睡眠の制限は睡眠の制限は咬合違和感閾値を減少させることが示唆されており,各種の口腔領域の体性感覚に影響へ及ぼすことが解明されている。 一方で、日中のブラキシズムと睡眠時ブラキシズムの顎口腔系の体性感覚に及ぼす影響についても、これまでの検討で実験系が確立しつつある。 今後は,これまでの準備状況を踏まえて,断眠実験による睡眠状態の変化が,睡眠のステージに及ぼす影響と,日中および睡眠時ブラキシズムに与える影響について,データを蓄積し、さらに学会発表と論文作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
5月20日から23日にアテネで開催される国際学会に参加し、発表する予定であったが、コロナウイルス感染症の蔓延に伴い渡航を中止した。また、6月21日から24日まで成都で開催される国際学会に参加し、発表する予定であったが、コロナウイルス感染症の蔓延に伴い渡航を中止した。よって成果発表を次年度に行うため。
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Research Products
(8 results)