2022 Fiscal Year Research-status Report
重度認知症高齢者における静脈内鎮静法が脳細胞の活動および認知機能に及ぼす影響
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20K10061
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
森本 佳成 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (00264870)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知症 / 高齢者 / 静脈内鎮静法 / 歯科治療 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、認知症高齢者に対するミダゾラム投与により、脳波成分および振幅がどのように変化するか、健常者と比較することである。本研究は、神奈川歯科大学研究倫理審査委員会の承認を受けて行われている。 本年度までに、認知症高齢者12名に対し脳波計MWM20(株式会社ジー・エム・エス)を用い、自動解析にてδ波・θ波・α波・β波を測定し、また総振幅と総振幅に対する各脳波の振幅の比率を計算した。一方、非認知症高齢者5名の測定値と比較した。 結果は、対象者の年齢は認知症群で78歳(中央値)、非認知症群75歳(中央値)、性別は認知症群で男性1名のほかは両群とも女性であった。ミダゾラム投与前においては、認知症高齢者では非認知症高齢者に比べて、徐波(δ波)の比率が高く、速波(α波・β波)の比率が少なかった。ミダゾラム投与により、認知症高齢者では、おおむねδ波60%/θ波15%/α波10%/β波15%で、ミダゾラム投与によりδ波50%/θ波10%/α波10%/β波30%とβ波の増加を認めた。非認知症高齢者では、おおむねδ波50%/θ波10%/α波10%/β波30%で、ミダゾラム投与によりδ波20%/θ波5%/α波10%/β波65%と、δ波の大幅な減少とβ波の著明な増加を認めた。以上より、認知症高齢者では速波(β波)の比率が増加するが、非認知症高齢者では速波(α波)の比率が増加した。ミダゾラム投与により、認知症高齢者の脳波の振幅および徐波(θ波)は低下したが、非認知症高齢者では変化はなかった。 ミダゾラムを用いた静脈内鎮静管理では、認知症高齢者と非認知症高齢者では、脳波の変化パターンに相違がみられた。本年度は、ケースコントロールされた症例数までデータを採集し、その後は別の薬剤についても検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各群12例ずつを必要とするが、認知症高齢者ではおおむね順調に進行しているが、非認知症高齢者は患者数が少なく遅れている。本年度は、非認知症高齢者の例数を増加させる。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき、症例数を増加させる。特に、非認知症高齢者の例数を増加させる。また、学会発表を行ってゆく。
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Causes of Carryover |
本年度は順調に症例を登録できたが、過年度にコロナ禍のために症例の登録が進まず、合計の症例登録数は予定を下回っている。そのために使用金額が少なく次年度使用額が生じた。
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