2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K10065
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
東 華岳 産業医科大学, 医学部, 教授 (20273146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 金弥 名古屋女子大学, 健康科学部, 教授 (00329492)
飯沼 光生 朝日大学, 歯学部, 教授 (70184364)
小野塚 実 神奈川歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (90084780)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 咀嚼刺激 / 転移がん / 精神ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、当初の研究計画にしたがって以下の実験研究を実施した。 1)マウス転移がんモデルの作成:ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231(ATCC)を、細胞培養プレート中のDMEMで培養し、細胞カウンターを用いて細胞濃度を決定する。2 ×106細胞をBALB/cヌードマウスの尾静脈注射により転移がんモデルを作成した。 2)ストレス負荷:我々が従前に行ってきた“拘束ストレス法”を用いて、がん細胞接種前5日から開始し、1日に3回、1回45分のストレスを負荷し、これを4週間継続した。 3)咀嚼刺激:ストレス負荷中に木製の爪楊枝をマウスの前歯に近づけ、マウスは自ら積極的に噛みつきチューイングを始める。この咀嚼刺激はストレス負荷と同じ、1日に3回、1回45分、4週間継続した。 4)血中ストレスホルモンと転移がんの病理組織学的観察:ストレス負荷と咀嚼刺激の実験終了時に、マウスの血液を採取し、ストレスホルモンであるコルチコステロン血中濃度をELISA法により測定した。その結果、ストレス群のコルチコステロン量が対照群より有意な高値を示し、咀嚼刺激群のコルチコステロン量がストレス群より有意な低値を示した。実験終了後にマウスの肺、肝臓、脾臓、卵巣などの臓器を採取し、4%パラホルムアルデヒドで 固定、パラフィン切片を作成し、HE染色を施して、光学顕微鏡を用いて形態学的観察を行い、各臓器における転移巣の定量解析を実施しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヌードマウスにヒト乳がん細胞の尾静脈注射により転移がんのモデルを作成することは、想定した結果とほぼ一致している。しかし、注射するがん細胞数の増減とストレス・咀嚼刺激の期間の長さによって形成された転移がんの差が大きい。そこで、接種細胞数と実験期間を微調整し、より良い実験結果を得られるようになり、現在は転移がんが順調に発育している。
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Strategy for Future Research Activity |
咀嚼刺激させたマウス(咀嚼刺激群)と咀嚼刺激させなかったマウス(ストレス群)において、転移がんの発生に関与するストレスホルモン受容体の発現解析、転移がん関連遺伝子の発現解析、および活性酸素の定量解析を実施する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は新型コロナウイルス感染拡大の影響で出張中止となり旅費は減ったためである。 使用計画として、未使用額17万円は次年度の実験研究に必要な試薬購入費に充てることにする。
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