2022 Fiscal Year Annual Research Report
骨小腔-骨細管系ネットワークの制御を基盤とした即時負荷インプラントの開発
Project/Area Number |
20K10067
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石橋 実 東北大学, 歯学研究科, 非常勤講師 (40231138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 将博 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (90549982)
江草 宏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30379078)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨小腔ー骨細管ネットワーク / 骨結合促進効果 / チタンナノ表面改質技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の概要 インプラント治療では、インプラントを支える骨の質を高めることができれば、長期的な成功率の向上が期待できる。骨細胞は骨組織を構成する大多数の細胞集団であり、骨代謝を調整することで骨質を制御する重要な細胞と考えられている。骨細胞は神経細胞様の長い樹状突起を形成することにより、骨組織内で骨細胞同士連結した三次元ネットワークである骨小腔・骨小管ネットワークを構築し、その発達度が骨代謝の活性と密接に関連している。本研究では、歯根セメント質表面のマイクロメカニカル特性やナノ表面形態を模倣したセメント質模倣チタンナノ表面インプラントが、無数のナノ突起で物理的な接触刺激を加えることにより、チタン表面上での骨細胞株MLO-Y4細胞の接着斑の組み立てと神経細胞様の長い樹状突起の形成を促すことを示した。さらに、骨細胞株の三次元培養モデルにおいて、セメント質模倣チタンナノ表面によって活性化された骨細胞株は、周囲の細胞に働きかけ、コネキシン分子の強発現を伴う三次元的な細胞間連結を発達させることを示した。野生型ラットの上顎骨にインプラントを埋入した動物実験モデルに置いて、セメント質模倣ナノ表面チタンインプラントの周囲骨組織に存在する骨細胞は、骨―インプラント界面で著しい数の細胞突起をナノ表面に付着させるとともに、インプラント表面から離れた骨組織中でも、樹状突起の形成と密な細胞間連結を発達させた。さらに、生体力学的解析により、セメント質模倣ナノ表面チタンインプラントは、従来型インプラントよりも、骨結合強度を増強させた。これらの結果により、セメント質模倣チタンナノ表面は物理的刺激により、ドミノ倒しのように骨細胞を活性化させることで、自発的に骨小腔・骨小管ネットワークの発達を促進し、骨結合を強化することが示された。
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Research Products
(1 results)